【図解】子どもの食事に時間がかかる1番の原因?機能的な問題について【2023年8月9月】

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今回は、2ヶ月連続で食べることに関わる「機能的な問題」について詳しく取りあげます。

子どもが食事に時間がかかり、食べるのが遅いことや、偏食についても大きく関わってくる問題です。特に、離乳食期〜中学生未満の子には当てはまりやすいので、今回の内容を確認してみましょう。

  • 図解でわかりやすい!口腔機能の獲得の順序
  • 注意したい具体的な食品の例と5つの観点
  • 大人が子どもに食事を与える際の注意点
  • 食べる姿勢を見直してみよう

その他、本テーマに関連する解説記事はこちら

▶︎子どもが食べられない「3つの理由」

▶︎食べるのが遅い子に対して気をつけたいこと

まずは口腔機能を確認しよう


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食べられない理由の1つに「機能的な問題」によるものがあります。

人が食べ物を認識してから、食べるまでの動作を少し順序立てて整理してみると、

食べ物を目で見て確認する→口へ取り込み→前歯でかじり取り→舌を使って奥歯に食べ物を移動→奥歯で食べ物をすりつぶし→舌を使って喉元へ送り込み→嚥下をする(飲み込む)

というように、目、手、唇、舌、歯、嚥下に関わる筋肉…など、様々な感覚器官や口腔機能が関わっていることが分かると思います。(もちろん「食べる姿勢」などの観点も入れると、体全体が食べることと関わってきます。)

今回は、最初に「食べることに関わる機能」の中でも「口腔機能」について考えていきます。「口腔機能」について考える際には「今のその子の口腔機能の発達段階」と「食形態」を確認することが大切です。
食べることに関わる機能的な問題と食形態
それぞれのミスマッチが起きていると、食べない(食べられない)ことにもつながり、誤嚥や窒息などの事故やトラブルの引き金になることもあるので、注意が必要です。

Step1.口腔機能の発達段階を確認しよう

基本的な口腔機能の獲得の順序と確認できる動きについて、比較的分かりやすい「口唇」と「舌」の動きについてお伝えしておきます。

・唇の動き
まずは唇をしっかりと閉じることができるかどうかという点です。最初は唇をうまく閉じられませんが、次第に唇を閉じる動きができるようになり、ゴックンと嚥下ができるようになったり、スプーンにある食べ物を上手に取り込めるようになっていきます。さらに動きが発達していくとしっかり、唇をとがらせたり、引っ込めたりしたり、ねじるような動きができるようになるなど、色々な形に変えられるようになっていきます。

・舌の動き
次に舌の動きです。舌の動きは、前後→上下→左右という順番で獲得していきます。まず、母乳を飲む際にも必要な前後に出したり引っ込めたりする動きから始まります。その次に舌を上下に動かすことで、上あごで食べ物を押しつぶすことができるようになります。そして最終的には舌を左右に動かせるようになるので、食べ物を奥歯のところまで上手に移動させることができ、奥歯で噛むことが必要な食べ物を食べられるようになっていきます。

・口角の動き
ここまでの話を踏まえた上で、最後に次に口角の動きです。最初は食べている時に口角は動きませんが、次第に舌が上下に動かせるようになると、口角は左右に引っ張られるように動きます。そして舌を左右に動かせるようになり、奥歯での咀嚼が始まると、口角は片方(咀嚼している奥歯側の口角)がねじれるように動くようになります。

口腔機能獲得のサポートとしては、口を閉じることができない場合に、ストローを使って吸う練習や、笛のおもちゃなどを吹く遊びなどをすること。舌を自在に動かせない場合は、口の周りにジャムなどを塗り、それを舐め取る練習などがあると言われていますが、丸呑みしたり、よく吐き出したり、奥歯の方で噛めていないかも・・・など口腔機能に不安がある場合は、窒息ほか事故の可能性が少しでもあるので、ぜひ一度小児歯科や言語聴覚士などの専門家に診ていただくことをお勧めします。

Step2.食形態を確認しよう

今の口腔機能の発達段階に対して、食形態が合っていないと食べられないことにつながり、誤嚥や窒息などの事故やトラブルの引き金にもなります。
食べにくい食形態の観点
食形態を考える上では上記の5つの観点が参考になりますが、大きすぎる、小さすぎる(細かすぎる)、硬すぎる、柔らかすぎるなど、一般的に“すぎる“と食べにくいものです。

また、一般的に注意したいと言われている具体的な食品の例は、以下のようなものが挙げられます。

口腔機能の問題で困難な具体的な食品の例

一方で、全く困難なものを食べさせない(避ける・取り除く)ことは、口腔機能の獲得が進まないことになります。

ですから、今食べられる食形態のものが8~9割、今よりもほんの少しステップアップした食形態のものを1~2割など、食べられなくてもいい(残してもいい)という前提で、食卓に並べてみてステップアップができないかも同時に考えていきます。

もちろん、毎回チャレンジしなくてもいいし、体調が悪い時などは無理はさせないようにします。

Step3.大人の食事の与え方を確認しよう

大人による、子どもの発達に合わない食事の与え方が、機能的な問題で食べられないことにも繋がります。

【良くない具体例】
食事の与え方良くない例
子どもの食事の与え方(0歳1歳2歳)

こういった食事の与え方は、口腔機能の獲得を妨げるだけではなく、 丸呑み、誤嚥、窒息などのトラブルや事故にも繋がりますので注意しましょう。

また、こうなってしまっている背景には「なんとか時間内に子どもの食事を終わらせなければいけない!」などと、保育者などが思ってしまっている場合もありますので、園内でしっかりと情報を事前共有することも大切です。

Step4.食べる時の姿勢を確認しよう

子どもの食べる姿勢のチェックポイント

大人の場合は、多少姿勢が崩れても食べることは出来ます。

しかし、子どもの場合は筋肉量も少ないので、姿勢が崩れやすく、テーブルやイスが体に合わないだけで、食べられない、食べるのが遅いということの大きな原因になりますので、上記の図を参考に確認してみましょう。

次回予告

いかがでしたか?

今回は「機能的な問題」として、前半では「口腔機能」と「食形態」について取り上げ、後半では「食事を与える際の注意点」や「食べる時の姿勢について」などを取り上げました。

口腔機能の問題は、事故などのトラブルにも繋がることがありますので、しっかりと園内で事前共有をすることを大切にしましょう。

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参考文献:
・金子 芳洋 (編集),『食べる機能の障害その考え方とリハビリテーション』(1987,医歯薬出版)
・山崎祥子,『じょうずに食べる 食べさせる―摂食機能の発達と援助』(2005,芽ばえ社)
・山崎祥子,『そしゃくと嚥下の発達がわかる本』(2005,芽ばえ社)
・田角 勝 (著), 河原 仁志 (著)『子どもの摂食指導―食べる機能の発達をうながす子育て』(2003,診断と治療社)

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本記事の担当編集者
山口 健太

『月刊給食指導研修資料|きゅうけん』 編集長
株式会社日本教育資料 代表取締役
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 代表理事

岩手県盛岡市出身。学生時に「会食恐怖症」を発症し、他人と食事ができなくなった経験を持つ。その中で「食べられない」ことへの適切な対応や支援が、子どもたちと関わる教育者に広まっていないことを痛感。メディア「月刊給食指導研修資料|きゅうけん」を立ち上げ「楽しく食べることが、社会の幸せを作る」という思いで活動している。著書に『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)ほか数冊。

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