毎月、先生のための給食指導に関する情報を、分かりやすく1枚の資料にまとめ、文章でも詳しくお届けします。
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今月は「食べるのが遅い子ども」に焦点を当てた内容です。指導のポイントや注意点などを分かりやすくまとめていきます。
●その他、本テーマに関連する解説記事はこちら
▶︎【図解】給食を食べるのが遅い子の「ごちそうさま」はいつがベスト?
▶︎【図解】SOSのサインかも!「子どもが給食を食べるのが遅い」他7項目
「早く食べてね!」と言っても食べられない子
※『食べるのが遅い子に対して気をつけたいこと』のPDFはこちら(右クリックで保存できます)
給食時間などで食べるのが遅い子どもに対して「早く食べてね!」や「●分までに食べてね!」と声をかけるだけでは解決しないことがあります。
たとえば保育園でも年長さんになると、小学校の給食に向けて時間内に食べることを意識させる場合も多いと思います。上記のような声かけ以外でも「時計の長い針●分までに食事を終えるルールにする」場合や「タイマーをセットする」などが行われている園もあるようです。
しかし、子どものタイプによっては時間を意識すればするほど「食べなければいけない」という気持ちがプレッシャーになり、食べられなくなる場合もあるのも知っておきたいところです。
子どもが食べることが遅いという場合には「食べるのが遅い理由」を考えることが大切ですが、そこには思わぬ理由があったり、子ども自身もそれをうまく言葉で表現できないことがあります。
子どもが食べるのが遅い理由の例
食べられないことには理由があることを「給食指導「好き嫌いしないで食べよう!」は難しい?【2022年3月】」の解説記事でもお伝えしましたが、食べることが遅い場合でも上記のような理由があるのだと考えることが大切です。
そして今回は「お腹が空いていないから食べるのが遅い」などの一般的に気づきやすいものではなく、大人として盲点になりやすい意外な理由を多くピックアップしています。
また、例えば「乳歯が抜けていて食べにくい」、「お箸や食器がうまく使えない」などの理由の場合は、その子の成長とともに改善されていく部分が大きく、大人としても食べるのが遅い理由として理解しやすいと思います。
一方で、口腔機能の未獲得、感覚的な問題(過敏や鈍麻)、その他のストレスプレッシャーによって食べることが遅くなっている子に対しては、周りの大人に知識がないと、その理由自体を理解してもらうのが難しく、それゆえに対応を間違えてしまい、食べることが苦痛になってしまう可能性が高いです。
子どもは(小さければ小さいほど)、食べるのが遅いことを言葉では表現できなかったり、自分自身でも「どうして遅いのか」に無自覚であることがありますので、周りの大人の支援や対応がとても大切になります。
「ちびちび食べる子」には要注意
そして、特に注意したいケースがありますので紹介しておきます。
それは、大人からみたらほんの少しの量なのに、それをちびちびとゆっくり食べている子がいる場合です。(あくまで例ですが、イメージとしては「もやし一本すらゆっくり時間をかけてしか食べられない」等)
このように、ほんの少しの量ですらパクッと食べられないのは、食べることに対して強い苦痛を感じている可能性があります。
それに気づいたら「その子がどうしたら安心して食事の時間を過ごせるか」を考えて支援することが大切ですが「先生でも分かる会食恐怖症」の記事で解説した会食恐怖症のような状態になっている可能性もありますので、注意をしましょう。
苦手なものはいくら時間をかけても食べられない
関連することとしてもう1つお伝えしておきたいのは、苦手なものはいくら時間をかけても基本的には食べられないということです。
苦手なものを時間をかけて頑張って口に入れさせたとしても、その食べ物とネガティヴなイメージが強固になり、さらにその食べ物が嫌いになってしまいますので、そういった指導などはやらないようにしましょう。
こちらに関しては先月の「給食指導「好き嫌いしないで食べよう!」は難しい?」も参考になりますので、ぜひご一読ください。
最後に
いかがでしたか?
今回は、
- 「早く食べてね」と言っても理由があり食べられない子がいる
- 理由によっては大人も気づくにくいので要注意
- ちびちび食べている子は安心した環境づくりを
- 苦手なものは時間をかけても更に苦手になるだけ
というのが今回の要点になります。
「食べるのが遅い」ということについては、先生や保護者の方からもよく届く相談でしたので、今回は取り上げました。
きゅうけんは、読者さんの声を大切にしておりますので「こういった内容について取り上げて欲しい」などがありましたら、これからも「きゅうけんマガジン」などからぜひぜひお声をお寄せください!
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