給食指導「好き嫌いしないで食べよう!」は難しい?【2022年3月】

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今月は、給食指導などでよくある「好き嫌いしないで食べよう!」という指導についてや子どもの食の広げ方について理解を深める記事になります。

●その他、本テーマに関連する解説記事はこちら

▶︎【図解】食べない子になんて声をかけたらいい?

▶︎【事例】給食で牛乳が飲めない子どもの支援と実践の実例から学ぶ、偏食対応の要点

好き嫌い克服は本人の努力次第ではない?

14-「好き嫌いをしないで食べよう!」の一歩先へ
※『「好き嫌いしないで食べよう!」の一歩先へ』のPDFはこちら(右クリックで保存できます)

日頃の給食指導や入園・入学の説明会などで「好き嫌いをしないで食べよう!」という言葉が使われることがあります。

もちろん、食が広がることは素晴らしいことですが、その言葉が子どもや保護者にとってプレッシャーになるということもあります。

好き嫌いの克服や食の広がりは”本人の努力次第”ではありません。周りの大人の関わり方や工夫が大切です。その工夫もなく、ただ「好き嫌いをしないで食べよう」とだけ伝えたとしても、難しいのです。

”好き嫌い”について深めてみよう

ここで少し「好き嫌い」という事について深めてみましょう。「好き嫌い」という言葉は一般的によく用いられますが、本来は扱うのが大変難しい言葉だと考えます。

理由は「誤解を招きやすい表現だから」です。具体的には「”好き嫌い”という言葉を用いてしまうと、食べられない理由は感情的な問題で、本人の気持ちや努力次第でどうにかなるものだ」という間違った認識が生まれてしまう可能性が高いからですね。

指導案や食の指導における計画などにも「好き嫌いをしないで食べる」などの文言を目にすることがありますし、目標とするのが悪いわけではありません。しかし、そのためにどうしていけば良いのかが分からなければ、無理な食指導につながってしまう可能性がありますので注意が必要です。

食を広げるポイントの要点

子どもの食を広げるポイント(きゅうけん)
また、入園・入学説明会の際に保護者に「好き嫌いを無くしてきてくださいね!」と伝えたのは良いものの、じゃあどうすればその目標が達成できるかについても一緒にお伝えしなければ、悩ませてしまうだけになってしまいます。ですから、以下よりいくつかの「食を広げるポイント」を紹介します。

食べられない理由を考えよう

まずはどうして食べられないのか、その理由を考えることです。

細かく分けるとその理由はいくつもに分類できるのですが、研修会などではまずは以下の3つから考えられるようになることをオススメしています。

子どもが食べられない3つの理由・簡易版

詳しくは以前取り上げた「【図解】子どもが給食を食べられない3つの理由」の資料&解説記事もご参照ください。

「食べられる!」と覚えてもらう工夫

偏食や食わず嫌いを少なくしていくためには、子ども自身が「自分はこれを食べられるんだ!」と覚えてもらうような工夫が大切になります。

よくある悪い例を1つ挙げると、黙って苦手な野菜をみじん切りにしてハンバーグに入れる等(給食では献立が明記されているのであまりありませんが)騙して食べさせるような形で食べさせるのは基本的にはNGです。これでは、食べる前の想像と食べた後の結果に大きなマイナスギャップが生まれてしまう可能性が高く、食べ物を口に入れるのが怖くなり食わず嫌いが助長されてしまいます。

ここで注意したいのは、苦手な野菜をみじん切りにしてハンバーグに入れる工夫等が悪いのではなく、それを事前に予告をすることなく騙した形で食べさせるのが危ないということです。

食わず嫌いを減らすポイント

(※当社研修会の資料より一部抜粋)

「予告したら食べないのではないか?」と感じるかもしれませんが、たしかに最初は警戒して食べません。しかし、次項でお伝えするスモールステップであれば少しずつ食べることが増えますし、それを積み重ねていくことで子どもは次第に「自分の苦手なものに配慮してくれているから安心できる」と、勧められたものなどを安心して口に入れるようになっていきます。

スモールステップで勧める

よく、いきなり「ひと口食べてみたら」と提案する大人がいます。たしかに「ひと口だったら食べられるのでは」とか「ひと口くらい食べて欲しい」などと思うかもしれません。

ですが、実際のところ、子どもにとって初めてのものや苦手なものを「ひと口食べる」ことは非常にハードルが高いのです。ですから以下のようなスモールステップを大切にしましょう。

食べない子が食べられるまでのステップの解説図

こちらに関しても、詳しくは以前取り上げた「【図解】食べない子になんて声をかけたらいい?」の資料&解説記事もご参照ください。

食べられたことを伝えよう

人の脳には「焦点を当てたところが拡大化していく」という性質があります。ですから少しでもできたことをどんどん声に出して伝えてあげましょう。

たとえば、トマトが苦手な子がいたとして、ぺろっとしただけでやめたとします。その時に「お行儀悪いからやめなさい」と叱るのか「少し口をつけられたね!」とできたことを伝えるのかで、その子の将来的な食の広がりに大きな差が出ていく可能性があることです。

大切なのは、先ずは大人が子どもができたことに対して”見つけ上手”になることです。大人が”見つけ上手”になるからこそ、子どものできることは広がっていきます。

最後に

いかがでしたか?

まとめると、

  • 好き嫌いの克服は本人の努力次第ではない
  • そもそも”好き嫌い”という言葉は誤解を招きやすい
  • 食を広げる工夫もセットで指導しよう

というのが今回の要点になります。

今回は、栄養教諭の先生の「なるべく”好き嫌いを無くしてきてください”とは言わないようにしているし、そもそも”好き嫌い”という言葉の扱いに気をつけている」という声や、保護者の方からの「入園・入学説明会で”好き嫌いを無くしてください”と言われたが、どうすれば良いのかについては一切言及がなくて困った」という体験談から着目して取り上げました。

きゅうけんは、読者さんの声を大切にしておりますので、これからも「きゅうけんマガジン」などからぜひぜひお声をお寄せください!

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本記事の担当編集者
山口 健太

『月刊給食指導研修資料|きゅうけん』 編集長
株式会社日本教育資料 代表取締役
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 代表理事

岩手県盛岡市出身。学生時に「会食恐怖症」を発症し、他人と食事ができなくなった経験を持つ。その中で「食べられない」ことへの適切な対応や支援が、子どもたちと関わる教育者に広まっていないことを痛感。メディア「月刊給食指導研修資料|きゅうけん」を立ち上げ「楽しく食べることが、社会の幸せを作る」という思いで活動している。著書に『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)ほか数冊。

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