食べない子になんて声をかけたらいい?【2025年10月更新】

月刊イラスト付き資料

【結論】食べない子には「ひと口食べてみたら?」ではなく、その子の今の段階に応じた声かけをすることが大切です。

【根拠】「食べられない」→「食べられる」までには、大きくわけて5つのステップがあり、それぞれのステップに応じて適切な声かけが変わります。

【本記事を読むメリット】食べない子にどんな声かけをすると良いのかが分かり、今日から実践できるようになります。気をつけたいNG声かけもピックアップしたので、まずは以下よりご覧ください。

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食べない子が変わる5つのステップ

「食べない」が「食べられる」に変わるまでに、どのようなプロセスがあるのでしょうか?

ここでは大きく5つに分けたステップを紹介します。

それは、

  1. 知らない
  2. 知る
  3. 興味を持つ
  4. 触れる
  5. 食べる

という5つのステップです。

このようなイメージで「食べない」から「食べられる」に変わるために、大きく分けて5つのステップがあり、1つの食材を食べられるようになるには、半年〜数年かかる場合もあります。

ここで特に大切なのは「興味を持たせる工夫」です。人の行動心理に照らし合わせた時に、興味を持つ前に、自分から行動を起こすことはあり得ません。ですから、興味を持つ前にいきなり「食べてみたら?」と提案をするのではなく、興味を持たせることを考えてみましょう。

また、無理に食べさせたりすることは、その食べさせられた食材や食べること自体に対して嫌な気持ちを抱く可能性が高く、興味が失われてしまいます。

「今は5つのステップのどの段階なのかな?」と少し考えてみると、対応や声かけもやりやすくなるはずです。

そして、少しでも食べられたら「きのこ、食べられたね!」と食材について教えながら、食べられたことを伝えてあげることも大切です。

ステップに合った勧め方を意識しよう

先ほどの5つのステップを知っていると、その子の状況にあった声かけをすることができます。

食べない子の状況に合わせた声かけの図表

食材や料理のことを知らないという場合は「これってどんな味がすると思う?」等の興味を持たせる声かけ、興味はあるけどまだ食べたことがないという場合は「どんな匂いするかな?」や「少しペロッとしてみたら?」などの触れてもらえる声かけなどがあると、少しずつステップアップすることができます。

資料では、そこまで詳しく伝えきれていませんが「食べる」ひとつをとっても、実は色々な段階があるものです。

たとえばそれは、

  • 恐る恐る食べる
  • ほんのちょっと味見する
  • ひと口だけ食べる
  • 安心して自分から食べる
  • 食べるのが楽しみでどんどん食べる

などです。

大人でも、(例えば旅行先などで)食べたことがない食べ物に出会ったとしたら、まずは匂いを嗅いだり、どんな味かを知っている人に聞いたり、調べたりした上で、安心できたら口をつけると思います。

ですから、少しも口をつけない場合も、怒る必要はないのです。

また、子どもが食べない時に「ひと口は食べてみよう!」と、勧めたことがあるという人は多いと思います。もちろん、そのように「食べてみること」を提案するのは、食を広げるためにとても大切なことです。

一方で、その勧めるひと口が大きくないか、大人基準になっていないかは気をつけたいところです。

米粒くらいのひと口でも子どもにとっては大きな挑戦に感じている場合がありますので、繰り返しになりますが、スモールステップを意識して勧めていきましょう。

本当に効果ある?一歩立ち止まりたい声かけ集

そして今回の資料では、その他のよく見られる「声かけ」についても、取り上げています。
立ち止まりたい声かけ

  • 「もうひと口!」「ひと口だけ食べてみて」と提案して食べた後に、「もうひと口!」と勧めると”嘘をつかれた”と思われているかもしれません嘘つきと思われてしまえば、次からの「ひと口食べてみて」で食べることは少なくなっていきます。
  • 「食べなさい!」…食べられないことには理由があります。無理に勧めると更なる嫌いの助長や、無理に詰めん込んだことによる、嘔吐や窒息などのトラブル、事故の原因になる可能性もあります。
  • 「頑張れ!」…食べられない子からすると既に頑張っていることも多いです。「食べていない」=「頑張っていない」というわけではありません。「無理しないでね」などの声かけの方が安心して食べ進めるきっかけになる事もあります。

資料では上記3つについて取り上げましたが、他にも「美味しいよ!」などと食べることを勧めることもあると思います。

もちろん、そのように前向きなイメージを持たせることは大切なのですが、それは本当にその子にとって美味しいと思うから勧めているのか、それとも自分が美味しいと思うからや、食べて欲しいから言っているのかでは、違いますよね。

その子の状況を考えた上での、適切な声かけや勧め方ができているのかを、少し立ち止まって考えてみることも大切かもしれませんね。

よくある質問(FAQ)

Q1. 最初の一歩は何を意識すればいい?

A.その子が今「知らない→知る→興味→触れる→食べる」のどの段階にいるかを見立て、興味を持たせることを目標にして、少しずつ声かけします(例:「どんな味だと思う?」「色や形はどう見える?」)。いきなり「食べてみる?」より効果的です。

Q2. 「ひと口だけ食べてみよう」は使ってはいけない?

A.絶対に使ってはいけないわけではありません。ただし“ひと口”は米粒くらいでも十分。子ども基準のスモールステップにします。また「ひと口」と言ったら約束を守って“もうひと口!”とは言わないのが信頼関係の鍵です。

Q3. まったく口をつけない時はどうする?

A.いきなり食べさせず、匂いを嗅ぐ/触れる/ペロッと舐めるなど「触れてもらう」段階を作ります。食べる段階にも細かなプロセスがあるため、少しでも前進を認めて次につなげます。

Q4. 言わない方がいい声かけと、代わりに何と言えばいい?

A.「もうひと口!」「食べなさい!」「頑張れ!」はNG。嘘だと感じたり、“罰”の連想につながることがあります。代わりに安心を与えるフレーズ(例:「今日はここまででOK」「無理しなくて大丈夫」「匂いだけ一緒に試してみよう」)に置き換えます。

Q5. どのくらいで食べられるようになる?焦ってもいい?

A.半年〜数年かかる場合もあります。一進一退を前提に長い目で見守ること、スモールステップで進めることが成功の近道です。

最後に

今回は保育園や小学校の先生からこれまで要望が多かった、食べない子どもへの声かけについて取り上げました。

お伝えしてきたように、子どもは今すぐ食べられるようになる事は無く、時間をかけて一進一退しながら、食べられるものが広がっていきます。

ですから、焦る必要はありません。少しずつ食を広げていけば良いので、長い目で見守ってあげましょう。

また、食べない子には必ず理由があるものです。その理由について考えることが、適切な指導や支援のための第一歩となりますので、以前取り上げた「子どもが給食を食べられない3つの理由」もぜひ一度、ご覧になってください。

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本記事の担当編集者
山口 健太

『月刊給食指導研修資料|きゅうけん』 編集長
株式会社日本教育資料 代表取締役
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 代表理事
食べない子専門カウンセラー

岩手県盛岡市出身。学生時に「会食恐怖症」を発症し、他人と食事ができなくなった経験を持ち、2016年末から支援活動を始める。その中で「食べられない」ことへの適切な対応や支援が、子どもたちと関わる教育者に広まっていないことを痛感。専門カウンセラーとして3,000件超を個別支援し、問題解決に導いてきた。2020年にメディア「きゅうけん|月刊給食指導研修資料」を立ち上げ「楽しく食べることが、社会の幸せを作る」という思いで活動している。食育の講演や研修を累計100回以上(のべ1万名)以上に実施。

著書に、『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)ほか8冊、海外でも翻訳出版され、国際的にも影響を与えている。

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