毎月、先生や我が子の給食に悩む保護者のための給食指導に関する情報を、分かりやすく1枚のイラスト付きの図解資料にまとめ、文章でも詳しくお届けします。
資料はご自由に印刷していただいて構いません。小中学校・保育所での給食指導、クラス担任を持つ先生へ配布する資料としてご活用できます。職員室内・職員会議にて、全職員に回覧していただくことで、組織全体の業務改善・トラブル回避にもつながります。(資料のダウンロードリンクは目次のすぐ下にあります。)
今月号では、好き嫌い・偏食への指導についての時代の変化を取り上げます。具体的には文科省の「食に関する指導の手引き」から引用する形で、どう変わっているのかを理解できる内容です。
好き嫌い偏食への指導の悩みは多い
※「好き嫌い・偏食に対する今と昔の指導のちがい」のPDFはこちらから保存・ダウンロード
以前「きゅうけんマガジン」の読者アンケートで、給食指導における先生の悩みを調査したところ、1位は「好き嫌いが多い、偏食の子どもに対する指導」でした。(参考:「先生45人に聞いた!給食指導でのコツや大切なこと&悩みの1位は?」)
そして時代が進み、今と昔の指導は変化しています。今月号では文部科学省の『食に関する手引き』を参考にピックアップしましたので、確認してみましょう。
今のと昔の違いの要点
省庁が発行する手引きなどでも、好き嫌いや偏食に対する指導への記述は時代が進むにつれ、変化しています。
1つ前である「食に関する指導の手引き(第一次改訂版)」(2010年)では、
・好き嫌いせずに食べる
・健康的な体を作るために一口でも食べてみる
・嫌いなものをはじめから取り除かずに、食べてみようとする
という記述がありました。
その後、最新版である「食に関する指導の手引き(第二次改訂版)」(2019年)では、はじめて偏食が定義されるほか、偏食に対する個別的な相談指導の留意点なども、以下のような記載されるようになりました。
・まずは苦手な食品の匂いをかぐだけ、ごく少量を食べてみるなど、偏食の原因を軽減するための取組を段階的に行います。
・児童生徒自身が苦手な食品についてその日食べる量を決定し、完食することを目指した個に応じた指導を継続的に行います。
スモールステップで食を広げる支援をすることが推奨されるようになっています。
⚫︎食べない理由が分かるようになる記事
・子どもが給食を食べられない3つの理由
・給食を食べない理由がわかる!フローチャート&チェックリスト
⚫︎個別対応や具体的な支援のヒントになる記事
・【図解】感覚的な問題からくる偏食への指導①&②
その他の変化と偏食への指導に対する今後の課題
また、きゅうけんでは、好き嫌い・偏食への対応に関する現状や今後の課題として、以下のような点があると感じています。
①個別対応が必要性が高まっている一方で、その対応方法を学習する機会が先生にとって未だ少ない。
②集団指導においても(クラス全体に対しても)、食の広がりには個人差があり、理由があって食べられない子がいること(わがままではないこと)を伝えていくこと。(参考:「全部食べないとダメってどうなの?」)
が、大切になるときゅうけんでは考えています。
最後に
今月号は、いかがでしたか。
あなたの学校での給食指導が、このような時代の変化に対応しているかを、確認してみてください。
「うちの学校は、時代の変化に乗り遅れているな」感じる場合は、ぜひ今月号を活用しながら周りの職員にも周知してみましょう。
また、今回のような内容をまとめた論文がありましたので、今回の参考文献に紹介をさせていただきます。ぜひ興味がある方は一度読んでみると、より時代の変化を理解できます。
・文部科学省.”食に関する指導の手引-第二次改訂版-”(2019)
・文部科学省.”食に関する指導の手引-第一次改訂版-”(2010)
・佐藤 雅子, 綾部 園子. “学校給食における偏食や好き嫌いについての指導の変遷―戦後の学校教育への位置付け―” 日本家政学会誌75,no.3(2024):119-131
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