【根拠】先生にむけて給食指導に関する調査を実施した結果を掲載。(2025年114名、2022年45名の回答を集計)
【本記事を読むメリット】本記事では調査結果のポイントを抜粋して要点をまとめ。また給食指導の失敗談や普段工夫していることやコツも併せて紹介するので、給食指導の参考になります。
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先生114名を対象に給食指導の悩みや工夫について調査(2025年)

※Vol.54『先生が給食指導で抱えている悩みとは?2025年版』のPDFはこちら(右クリックで保存できます)
より詳しい調査報告は『株式会社日本教育資料 「給食指導の悩み」に関する調査報告(2025)』から閲覧することができますので、併せてご覧ください。
調査結果まとめ1.「給食指導において苦労している点」

●調査のポイントまとめ
・「給食指導において苦労している点」として「好き嫌いが多い、偏食の子どもに対する指導」を挙げる割合が82%以上(114名中94名)となり、多くの職員が苦労していることがわかった。
・偏食や少食、食べるペース、集中のしづらさなど、子ども自身への直接的な関わりに関する回答が多く見られた。一方で、園や学校の方針、他の先生との考え方の違い、保護者対応といった、子ども以外の要因による悩みも一定数挙げられている。このことから、給食指導の難しさは個々の工夫だけで解決できるものではなく、現場全体の体制や共通理解とも深く関係していることがうかがえる。

●調査のポイントまとめ
・「給食指導で1番苦労していること」では、前回(2022年)実施時と上位回答1位「好き嫌いが多い、偏食の子どもに対する指導」、2位「給食指導に対する園や学校の方針、また他の先生との意見が合わない 」が同じ結果となった。この上位2つは多くの先生が感じている悩みだということがわかった。

これらの結果から、給食指導における課題は「個々の子どもの食行動への対応力」だけでないことが分かります。共通理解の形成や方針のすり合わせ、職員間で悩みを共有し合える環境づくりの重要性とも深く関係していることが明らかになったと言えるでしょう。現場全体で支え合い、共有できる給食指導へと視点を広げていくことが重要です。
より詳しくは『株式会社日本教育資料 「給食指導の悩み」に関する調査報告(2025)』でご覧いただけます。職種別で抽出したデータも掲載しているので、ぜひお読みください。
調査結果まとめ2.「給食指導における失敗談」

また、任意回答での「これまで給食指導の場面での失敗談があれば教えてください」という設問に対しては、以下のような回答がありました。
●学校の先生(栄養教諭含む)皆さんからの声を抜粋して掲載
- マナーを重視して箸を使って食べさせたが、手指動作の発達段階としてはまだ早く、結果として自己流の持ち方が身についてしまった。
- 「食べないと将来大変だよ」と、脅し的な言い方をしてしまった。
- クラス巡回から出る際に「しっかり食べてね!」と言いがちだったが、「楽しんで食べてね」「よく噛んでね」など、より具体的な声かけの方がよかったのではないかと感じた。
- 完食指導として、からっぽになったクラスに表彰状を渡していた。現在は「3人分までは事情があるからOK」と伝えているが、若い頃は、とにかくからっぽを目指していた。
- 子どもの背景を考えずに、「頑張ろう」と声をかけてしまっていた。
- 栄養報告書作成のための残食調査で完食週間を設けたところ、少食の子が欠席してしまった。
- 「一口がんばってみよう」と声をかけたところ大きな一口で食べてくれたが、頑張りを認める前に「その感じならもう一口いけるんじゃない?」と、さらに追い込んでしまった。
- 好き嫌いや食欲の有無を判断材料にして個々の給食量を調整していた結果、減らした子の分を食欲のある子が毎日のように2〜3人分食べ続け、その子が高度肥満となり、体育や行事に参加できなくなってしまった。
- 食べるモチベーションにつながればという思いから、食缶の残りが少なかったクラスにカードを渡し、集めると絵が完成する取組を行った。事前に「責めない・無理に食べさせない」という指導は行い、当時は好評だと感じていたが、振り返ると、この取組によって給食時間が不安になった児童もいたかもしれず、配慮が足りなかったと感じている。
- 苦手なものを「ひとくちは食べよう」と当たり前のように言っていたことを反省している。
- 偏食の子に対して「一口頑張って食べよう」と常に声をかけ、食べられた後に「もう一口頑張ってみる?」と重ねて声かけをしていた。
- 食べたい量と食べられる量の調整や、初めて食べるものへの抵抗が強い低学年の子に「がんばれ!」と声をかけた結果、無理をして食べ、吐いてしまったことがあった。
●幼保施設の職員の皆さんからの声を抜粋して掲載
- 本当は勧めれば食べられる可能性がある子に対しても、「残していいよ」と子どもの言い分をすべて認めてしまっていた。援助とやりすぎのバランスには、今でも悩んでいる。
- 苦手なものが食べられた時に、大人が「えらいね」と褒めていた。
- 食べるのが遅い子が早く食べようと思えるように、食後の楽しみをクラスで用意した。その結果、プレッシャーが強まり、かえって食べられなくなってしまった。
- 以前は「食べ物が体に入ることが大切で、お腹が満たされれば心も安定するはず」という考えのもと、できるだけ食べられるよう声かけや介助を行い、残さず食べることを目標にしていた。好き嫌いなく食べられる子をほめることもあった。栄養士がクラスに入り観察や食事介助を行っていたが、クラスでの食べ方や残食量を比べられることで、保育士も子どもも緊張してしまうことがあった。
- 今は行っていないが、以前は「お皿をきれいにする」「苦手なものも一口は食べる」ことを子どもに強要していた。自分自身も、家庭や学校でそう教えられて育ち、それが当たり前だと感じていた。
- 保育士が無理に食べさせている場面で、栄養士として毅然とした態度を取るべきだったと感じている。
- 「食べると元気になるよ」「おいしいから食べてみて」「みんな食べているよ」「どうして嫌いなの?」など、こちらの思いを分かってもらおうと、必死な表情で子どもに接していたと思う。
- 「食べられない子の様子を見に来てほしい」と言われてクラスに行き、「がんばれー!」と声をかけたが、その子にとってはとても大変なことだったのだと、偏食について学んでから痛感した。
- 泣いている子どもに「がんばって食べてみようか」と声をかけたことがある。すでに十分頑張っていたのに、さらに追い打ちをかけてしまっていたと反省している。
- 他の職員が、自分から進んで食べない子に対して、無理やり口に入れたり、吐かないように口を押さえたりする場面を見て、見ていられないと感じていた。
調査結果まとめ3.「給食指導における工夫やコツ」
さらに、任意回答での「給食指導において、自分なりのコツや工夫していることがあれば教えてください」という設問に対しては、以下のような回答がありました。
●学校の先生(栄養教諭含む)皆さんからの声を抜粋して掲載
- 促しの言葉はなるべく少なめにし、「おいしい」「たのしい」などのプラスの言葉と笑顔で、快の共有体験を大事にしている。
- ストローの使い方や、口の中で食べ物をまとめられているか、詰まらせていないかなどを観察するようにしている。
- 適切な一回量や口腔内への取り込みを把握し、無理そうな場合は完食を目指さず「残してもいいよ」と声をかける。「もったいないから食べよう」「残食が増えた・減った」などの発言は避け、苦手な食べ物は他の物を食べたり、減らす量を自分で決めさせたりしている。
- 大人が焦らないこと、楽しい雰囲気を壊さないこと、食べないことを責めないことを大切にしている。
- 集団指導の場面では、よく食べる子もいれば、食べることが苦痛になっている子もいるため、指導後に「食べる量は一人ひとり違っていい」「無理しない程度に食べられる分でいい」という補足を必ず行っている。
- 本人の気持ちを最優先にし、話をよく聞き、安心できる環境づくりを心がけている。
- ダジャレや言葉遊びを交えた給食小話をして雰囲気を和ませたり、食育スライドや配膳図を提示したり、短い動画を流したりして、興味・関心を引き出している。
- 楽しく食べることを大切にし、何気ない会話の中で「これなら食べられる」という子どもの発言があれば、「今日はこの料理に入っているよ」と自然に伝えている。
- 「まずい」という表現を、その子が苦手としている食感や味に言い換えて言語化することをすすめている(例:「シャキシャキするからレンコンが苦手」など)。
- 楽しく食べる工夫を意識しながら、担任との情報共有を行っている。
- 毎日教室を訪問する際は、食べ物キャラクターのペープサートを持って明るく声をかける。特に野菜や果物のオリジナルキャラクターは人気があり、キャラクターを通すことで話をよく聞いてくれる。
- 指導する側が給食をネガティブに捉えず楽しみにすることで、子どもたちの良い反応を引き出し、少食や苦手があっても挑戦したことをしっかり認めている。
- 自校式の場合は、児童生徒のバックグラウンドを把握し、担任と十分にコミュニケーションを取った上で声かけを行っている。
- 低学年のうちに、個別に噛み方や唇の閉じ方を伝えている。食べるのに時間がかかる子の中には、口の使い方がうまくできていない場合があるためである。
- 給食委員の放送原稿や日常の会話に、食に関する豆知識、その日の調理員の様子、児童の声、納品業者からの情報などを取り入れ、児童の「〇〇が食べたい」という声を献立検討に生かしている。
- 給食時間に教室を訪問し、食事の様子を見守るほか、食後に5分程度の短い時間で食に関する指導を行っている。
- 食材や献立名に関する簡単なクイズで興味を引く工夫をしている。
- 教員に対しても、子どもに対しても、否定しない関わりを大切にしている。
- 教室巡回時は笑顔を意識し、集中して食べているクラスでは声かけを最小限にし、ハンドサインで気持ちを伝えてもらっている。おいしい時は手をCの形や「いいね」のサインで表現してもらう。
- 苦手なものは本人と相談して食べられそうな量に減らしている。自分で決めた量だと挑戦しやすく、少量から徐々に増やすことで最終的に一人量を食べられる傾向がある。一方、大人が量を決めると、手をつけず残す子が多い。
- 児童生徒のことを最も理解している担任から、日頃の様子や背景についてよく話を聞くようにしている。
- 給食中は放送で静かな音楽を流し、食事のテーマ(郷土料理、歯に良い献立、地産地消など)を紹介することで、食事への関心を高めている。
●幼保施設の職員の皆さんからの声を抜粋して掲載
- 途中で苦手な食材を拒んだり、給食自体に気分がのらない時、フルーツが好きな子には「今日は特別にフルーツを先に食べようか?」と声をかけることがある。それで気分が切り替わり、結果的に完食することもあった。
- 食事開始直後は「もぐもぐタイム」として時間(10分以内)を決め、その後は楽しい雰囲気で食べられるようにしている。コロナ禍以降も黙食や同じ方向を向いて食べる指導が続いていると聞くと、悲しさを覚える。
- 自分も一緒に食べ、美味しそうに食べたり、その食品に興味が出るような声かけを意識している。
- 大人が一緒においしそうに食べることを大切にし、子どもが食べられたことを見せてくれた時は、「食べられたね」と事実のみを伝え、過剰な評価はしないようにしている。
- 食育につながる絵本を読んだり、手遊びを取り入れている。また散歩の際に八百屋の前を通り、並んでいる野菜や果物の名前を子どもたちに問いかけるなど、日常の中で食への関心を育てている。
- 食べる・食べないに関わらず、食を楽しめるようプレッシャーを減らし、量や食べるタイミングをある程度自分で決められるようにしている。食べられない場合は、身体の発達、口腔機能、メンタルなど原因を観察し、一つずつ確認していくようにしている。
- 「意欲的に食べようとする姿」を優先し、プラスの声かけで気持ちが前向きになる場合はその意欲を認め、無理はしない。完食後におかわりを入れるのではなく、「おかわり!」のタイミングで量を調整しながら提供し、喜びや満足感を大切にしている。
- 栄養士が直接クラスに入って指導することは控え、その代わりに保育士から喫食状況を共有してもらい、子どもを変えるのではなく、調理法や量、盛り付けを工夫している。「楽しく食べられること」を目標としている。
- 発達障がい児の感覚過敏や姿勢保持の難しさなど、食事場面で問題になりやすい点については、園内研修や職員会議で定期的に周知している。
- 食事介助の際は、食具にのせたご飯を子どもの口元から少し離して持ち、「お口で捕まえてね、待ってるよ」と声をかけると、楽しそうに食べてくれることが多い。
- 苦手な食材を聞く際も、食べられる物まで減らしてしまわないよう配慮している。できるだけ毎日キッチンを出て、子どもたちと一緒に食事をとるようにし、性格に応じて関わり方を変えている。
- その子に合わせて、スプーン・フォーク・手づかみなど食べ方を工夫したり、提供の形を変えたりしながら、さまざまな方法を試している。
前回(2022年)は先生45人を対象に給食指導の悩みや工夫について調査

※『先生が給食指導で抱えている悩みとは?』のPDFはこちら(右クリックで保存できます)
先日、弊社が運営している「きゅうけんマガジン」内で、先生に向けた給食指導に関するアンケート調査を行いましたが、先生それぞれがさまざまな悩みや失敗談を持っていることが分かりました。

その中で回答いただいた内容と見えてきたことを今回はまとめていきます。給食指導を日々行っている、現役の先生がどのようなことに悩んでいるのか、そしてどんな工夫をしているのかなどを、ぜひ知っていただければ幸いです。
調査結果まとめ1.「給食指導において苦労している点」

「給食指導において苦労している点について、以下に当てはまるもの全てを教えてください(複数回答可)」という設問に対しての回答では、上位3つの回答が、
- 好き嫌いが多い、偏食の子どもに対する指導…77.8%
- 小食な子に対する指導…44.4%
- 給食指導に対する園や学校の方針、または他の先生と意見が合わない事…40.0%
一方、「給食指導で1番苦労していることは何ですか?(1つ選択)」という設問に対しての回答では、
- 好き嫌いが多い、偏食の子どもに対する指導…42.2%
- 給食指導に対する園や学校の方針、または他の先生と意見が合わない事…33.3%
- 食べるペースが遅い子への指導…8.9%
と、給食指導においては「好き嫌いが多い・偏食の子どもに対する指導」が根強く苦労している点として挙げられること。そして1番の悩みとして「園や学校の方針、周りの先生と意見が合わないこと」を挙げる先生が多いことから、指導方針や価値観の違いが強いストレスになっていることが推測されます。
調査結果まとめ2.「給食指導における失敗談」

また、今回は任意回答での「これまで給食指導の場面での失敗談があれば教えてください」という設問に対しては、以下のような回答がありました。
●ご自身の指導についての失敗エピソードに類する回答
- 周りに比べて、食べる量が少ない、スピードが遅いことで、促したり急かしたりしてしまった
- 体のために残さないで、という声かけをしていたこと。
- 食べたくないと言っているのに「この前食べられたから今日も美味しいかもよ?」と推し過ぎました。それからしばらく「絶対食べない!」と頑なになってしまい、前回食べたからと今回もと期待しすぎ、失敗しました。
- 子どもが『お腹痛い』と言った時に、嫌いで食べたくないんだと思って『大丈夫。お野菜食べたらお腹痛いのも治るよ。』と言って食べさせたら、翌日に、本当に体調不良で保育園をお休みした。
- 大規模園にいたときに、自分に、自信と余裕がもてず、無理な給食指導をしてしまった時です。はっきりと自分の意見をのべて、他職員への周知と、子どもに寄り添った指導ができていればと今でも悔やんでます
●周りの先生との関わりについての回答
- 指導観が全く合わない教師指導法を目の当たりにした時、平行線のまま泣いても無理矢理食べさせる児童を守れなかった
- 乳児クラスで嫌いなものを頑張る基準が先生と違い頑張ってひと口食べたので頑張って食べたねと嫌いなものを避けておいたら後からクラスの先生が食べさせていた。
- 担任の行きすぎた給食指導を黙ってみているしかできなかった
●子どものペースを尊重しすぎて、食べなくなってしまったという類の回答
- 子どもの様子に合わせて無理なく進めていたところ、偏食が減らなかったが、他の先生に変わった途端食べるようになった。
- 無理だったら残して良いよ、と声掛けしたらそれ以降食べられる物も無理と言われるようになった。
※詳しくは調査レポート株式会社日本教育資料.「給食指導について」調査報告.2022にいただいた回答を全て載せていますので、気になる方はご一読ください。
調査結果まとめ3.「給食指導における工夫やコツ」
さらに、任意回答での「給食指導において、自分なりのコツや工夫していることがあれば教えてください。」という設問に対しては、以下のような回答がありました。
●無理強いをしないということに関する回答
- 楽しい時間になるように、まずは本人の気持ちに寄り添い、無理なくすすめる。
- 無理強いはしない。進級・就学をゴールと捉えず、今その子のできる範囲で無理なく食べられるよう心がけた
- ある程度の好き嫌いは許容する。無理強いはしない。残すのは悪いことではない。教室を回るときは笑顔で、美味しいね、楽しいねという雰囲気づくりをする。集団での指導と個別の指導を組み合わせるといった事を心がけています。ただ、ふざけていて食べ物を粗末にしたり、無駄にしたりする時は真面目に話をします。
- 無理に食べさせない。自分もおいしく食べる。楽しい雰囲気になるよう心がける。
●スモールステップやその子に応じた対応をするようにしているということに関する回答
- 食べるのが苦手な子にはあえて少量にし、食べられた達成感やお代わりをした喜びを感じられる様にしている。
- すぐに満腹を感じ、食事が進まなくなってしまうため、お腹が空いている状態の時に苦手な食材にチャレンジさせてみる。個々の進み具合を見ながら、大きさや柔らかさを調整する。食べ方の練習も大切にしながら、ある程度は手を出し、いろいろな食材にふれてもらい一口でも多く食べてもらえるようにする。
- 保護者に家での食事の様子。食材の切り方や味など細かく聞き、近づける。
- 子ども自身に食べる量を決めてもらう→一口でも食べたら喜びその様子を保護者にも伝えていく。
- 食べる子が遅い子、偏食がある子などに対して「においだけでもいいよ」「食べられるところまでで大丈夫だよ」など子供が、食べることに苦痛に感じないよう、温かい言葉かけを意識して対応している。
- 食べる食べないを子どもがどれだけ小さくても選択できるようにしている。また、一口までいかなくても触るや臭う、口に触れるなど食べないの一言で終わらせないようにはしている。

●子どもとの関わりを大切にするということに関する回答
- 子ども達とのつながり、人間関係作りが第1と考えている。とにかく信頼関係を上手く構築すること。
- まずは仲良くなることから。給食側の人間なので、苦手と言いづらそうな子供たちが多い。苦手なものを伝えてもらいやすい関係作り。
※詳しくは調査レポート株式会社日本教育資料.「給食指導について」調査報告.2022にいただいた回答を全て載せていますので、気になる方はご一読ください。
偏食改善に向けた指導で大切なこととは?
今回の調査で気になった点としては、失敗談として「子どものペースを尊重しすぎて、食べなくなってしまった」という類の回答が挙がる場合もあれば、日々の工夫やコツとして「無理強いをしないこと(子どものペースを尊重すること)」を挙げている場合もあったということです。それも踏まえた上で「偏食の改善と無理強いをしないこと」について、ここで少しお伝えしていきたいと思います。
きゅうけんでも「食べられない子に無理をさせてはいけない」という話をしています。ただこれは「無理をさせない→偏食が改善する」というわけではありません。
偏食を改善するには、なるべく簡単に書くと、
- 食べることが楽しいという土台を作るために、まずは食べることへの苦痛を取り除いていく
- 食べられない理由を分析・考察し、理由に合った対応を考える
- 今食べられるもの、好んで食べるものをベースに、少しずつ食べられる範囲を広げていく
ということが必要です。「無理をさせない」というのは(1)の苦痛を取り除くためには貢献しますが、だからといって、これだけで偏食が改善するわけではありません。
これは、違うことに置き換えてみれば、簡単に分かると思います。たとえば、体育やスポートの場面で、「走ることが苦手な子」がいたとします。走ることが苦手な子に「無理して走らなくていいよ!」という声かけをしたとしても、走るのが上手になるかというと、そういうわけではないですよね。でもだからといって、”走るスパルタトレーニング”を行なったとしても、きっと心が折れたりとか、怪我をしてしまったりして、これまた上手くいかないでしょう。
ですからまずは「どうして走るのが苦手なのか」という理由を考えるはずです。そうすると例えば、
- 走るフォームが悪い
- 筋肉量が足りていない
- 走るのが遅くて周りと比べられるのが嫌
- 自分では頑張っているつもりなのに「ちゃんと走れ!」と言われるから嫌
- 靴やウェアが合っていない
など、何かしらの理由があるはずです。そして、その理由に合った対応をしたり、その子の段階に合わせて、スモールステップでトレーニングを考えて、少しずつ走ることが得意になるようにサポートをしていくはずです。これを考えると「無理して食べなくてもいいよ」とか「無理して走らなくていいよ」とかそういう声かけをするから、偏食や走りが改善するわけではないことが分かります。無理をさせないことの声かけは、あくまで土台づくりということなのです。
最後に
今回の記事はいかがでしたか?
調査から「好き嫌い・偏食の子どもに対する指導」に関しては多くの方が悩んでいることが分かり「園や学校の方針、周りの先生と意見が合わないこと」を1番の悩みとして挙げる先生が多いことからも、そういった情報共有の時間や機会を増やすことが大切だと言えるでしょう。
「偏食に対してどうすれば良いのか」に関することで、個に応じた指導や支援の方法については「【図解】子どもが給食を食べられない3つの理由」、「【図解】食べない子になんて声をかけたらいい?」なども一度読んでおくことをお勧めします。
きゅうけんは読者さんの声や要望を大切にしております。「こういった内容について取り上げて欲しい!」などのリクエストがありましたら、これからも「きゅうけんマガジン」などからぜひぜひお声をお寄せください!
参考文献:
株式会社日本教育資料.「給食指導の悩み」に関する調査報告(2025)
株式会社日本教育資料.「給食指導について」調査報告.2022
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