「食べるのが怖い」子どもにどう声かけをしたらいい?専門カウンセラー解説

食べるのが怖い子への良い声かけ・悪い声かけを比較した図解資料と解説記事 月刊イラスト付き資料
【結論】まずは子どもの不安や恐怖に共感する。それが回復への第一歩。

【根拠】具体的な経験を言語化した共感的な声かけ(例:「○○が怖かったよね」)は、子どもに「わかってもらえた」という安心感を与え、不安を軽減して自己表現を促進する。一方的な指示やアドバイス、無理強いは恐怖を強め、逆効果になる。

【本記事を読むメリット】子どもが安心して感情を表現できるようになり、一歩踏み出す意欲が高まることで、食への恐怖が徐々に改善し健康的な食習慣が回復。さらに、保護者や教育者との信頼関係が深まり、今後のサポートや成長にも良い循環を生む情報を得られる。

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食べるのが怖い子への良い声かけ・悪い声かけ図解

「Vol.51-「食べるのがこわい」と感じる子にどう声かけしたらいい?」はこちらから保存・ダウンロード!

精神的な問題や、食べることに関する一度の恐怖体験で「食べるのがこわい」となってしまった子には、どのような声かけや関わり方をしたら良いのでしょうか?

今月配信の資料と記事では、子どもへの声かけや関わり方の良い例や大人がよかれと思いよくやってしまいがちなミス。そして食べるのが怖い子には何が起きているのか、そこから改善してくためのプロセスを解説していきます。

食べるのが怖いと言う子にどう声かけしたらいい?

要点:大切なのは、その子の恐怖経験や負の感情を言葉にして共感する声かけ

図解:食べるのがこわい子どもへの良い声かけ悪い声かけの例イラスト

×「しっかり食べなさい!」→無理強いするような関わり方はNG。ますます不安や恐怖が強くなることも。

×「こうしたらいいんじゃない?」→大人目線での一方的なアドバイスとなりがちで、子どもの心に寄り添えていない。

△「無理しなくてもいいよ」→ 一見やさしい言葉だが、その子の辛さを理解しようとする姿勢が伝わらないと、本当の安心にはつながらないことも。

○「XXが怖かったよね」→その子の具体的な経験を言葉にして共感することで、気持ちを受け止め、理解しようとする姿勢が伝わる。理想的な関わり方の第一歩。

「無理しなくてもいいよ」の声かけが決して悪いわけではありません。その子の辛さに寄り添う姿勢がしっかり伝わっているから効果のあるものだと、認識を持つことが大切です。

食べるのが怖い子どもにどう接したらいい?

要点:子ども目線で対応して「怖さや辛さを理解しようとする」姿勢を示そう。

実は、声かけよりも大切なことがあります。それは、子どもが感じている辛さ、不安、恐怖を理解しようとする大人側の姿勢です。

子どもと接していると、大人目線で「こうしたらいいんじゃないか」「このままだと将来これが心配だ…」などと思うことがたくさん出てくるはずです。そしてそれは、子どもの健康や将来的な幸せを願う気持ちから来ていると思います。

しかし、大切なのは子ども目線に立って対応をすることです。
イラスト解説・大切なのは子ども目線での対応
食べない期間が続くほど不安になりますが、「どんな怖さや辛さを感じているのかを教えてほしい」というような姿勢で、まずは子どもが抱えている怖さや辛さを理解するように心がけましょう。

その姿勢が伝わるからこそ、子どもは大人に対して自分が本当に抱えている不安や怖さなどを、安心して言葉・表情などで表現できるようになります。(何も負の感情を出さずに、じっと耐えている子のほうが危険な状況と捉えてもいいでしょう。)

関わり方として大切なこと概要

弊社開催講座「食べられない子のメンタルケア講座」資料より抜粋


まずは、子どもから「嫌だ、怖い、普段だ」という言葉が出てくるようになったり、泣いたり、怯えたりしている姿を見せてくれたりするようになる。そしてそれを大人にしっかりと受け止められる経験を経て、前を向き、一歩踏み出せるようになるのです。

大人の頭の中だけでグルグルと考えるのではなく、子どもはどんな辛さを抱えているんだろうと想像した上で、関わるようにしてみましょう。

よくある質問

Q.子どもがまったく食べ物を口にしようとしません。まず何から始めればいいですか?

A.いきなり食べさせようとするのではなく、「怖かったよね」など具体的な経験への共感から始めましょう。そのうえで、本人が安心できる環境を整え、好きなものやその子が食べやすいと思うものから勧める、少しでも食べられたらOKにするが基本です。

Q.どれくらいの期間で改善が期待できますか?

A. 個人差がありますが、「怖さを言語化して受け止められる関係性」が築けるまでに数週間~数か月、実際に食べられる種類が増えるまでにはさらに時間がかかるケースも珍しくありません。焦らず、短期の成果より「安心の土台づくり」を優先してください。

Q.栄養不足が心配です。サプリや栄養ドリンクで補っても大丈夫??

A.医師や栄養士に相談のうえで活用するのは有効です。ただし「栄養が取れているから大丈夫」と、不安な心を置き去りにしないように注意しましょう。

※質問をタップで回答が開きます。

最後に

今月号はいかがでしたか?

「食べるのが怖い子」に関しては、さまざまな原因や理由がありますが、どんな理由にせよ回復のために大切なのは「周りの大人が辛さを理解しようとしているか」です。そんな大人が、周りに一人でもいると、食べるのが怖いと感じている子は救われます。

本記事が、子どもに寄り添い、不安や辛さや恐怖感を理解しようとする関わり方のヒントになれば幸いです。

「食べることを怖い」と思う原因や理由については「先生でも分かる会食恐怖症」「【保育園・小学校】給食をひと口も食べない子には何が起きている?」などが参考になります。

また声かけに関しては「食べない子になんて声をかけたらいい?」「【保育園・小学校】子どもへの食事における声かけ変換表①&②」などが参考になりますので、興味のある方はお読みください。

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本記事の担当編集者
山口 健太

『月刊給食指導研修資料|きゅうけん』 編集長
株式会社日本教育資料 代表取締役
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 代表理事
食べない子専門カウンセラー

岩手県盛岡市出身。学生時に「会食恐怖症」を発症し、他人と食事ができなくなった経験を持ち、2016年末から支援活動を始める。その中で「食べられない」ことへの適切な対応や支援が、子どもたちと関わる教育者に広まっていないことを痛感。専門カウンセラーとして3,000件超を個別支援し、問題解決に導いてきた。2020年にメディア「きゅうけん|月刊給食指導研修資料」を立ち上げ「楽しく食べることが、社会の幸せを作る」という思いで活動している。食育の講演や研修を累計100回以上(のべ1万名)以上に実施。

著書に、『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)ほか8冊、海外でも翻訳出版され、国際的にも影響を与えている。

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