毎月、先生のための給食指導に関する情報を、分かりやすく1枚のイラスト付きの図解資料にまとめ、文章でも詳しくお届けします。
資料はご自由に印刷していただいて構いません。小中学校・保育所での給食指導、クラス担任を持つ先生へ配布する資料としてご活用できます。職員室内・職員会議にて、全職員に回覧していただくことで、組織全体の業務改善・トラブル回避にもつながります。(資料のダウンロードリンクは記事目次のすぐ下にあります。)
今回は「食わず嫌い」がテーマです。
子どもの食わず嫌いで悩む大人は多いです。そこで今回はどうして食わず嫌いが起きるのか、どんな声かけや関わり方が有効なのかを解説していきます。
- 食わず嫌いは実は大人の関わり方が原因?
- 食べる前のイメージと食べた後の結果のギャップを考える
- 「美味しいよ!」は注意したい声かけ
●その他、本テーマに関連する解説記事はこちら
子どもの食わず嫌いの原因は大人?
※「食わず嫌いを減らす声かけと関わり方」のPDFはこちらから保存・ダウンロード
普段の研修会で「子どもの食わず嫌いのほとんどは大人が作っている」という話をすることがあります。
もちろん子どもは未知のものを拒否するため、そういったことが1つの要因として考えられています。
しかし、実際のところは大人が関わり方や声かけが原因となって、子どもの食わず嫌いを作ることも多いのです。
具体的には「食べてみたら嫌な体験をした」という記憶を作ってしまうと、食わず嫌いが引き起こります。
なぜ、食わず嫌いや好き嫌いが起こるのか?
そもそも食べ物の好き嫌いは、どうして起こるのでしょうか?
これを理解するには「食べる前のイメージと食べた後にどうだったのか」の”ギャップ”が、プラスに振れるかマイナスに振れるかどうかが重要です。
マイナスを体験すればするほど、食べることや口に入れることすらも怖くなり、その「怖い」と体験した食材を拒否したり、その人が勧めたものを警戒して食べなくなります。
今まで食べていたものを食べなくなるよくあるケース
先ほどの話が理解できるようになると「今まで食べていたものを食べなくなる」というよくあるケースの理解にも繋がります。
子どもは往々にして、今まで好き好んで食べていたのに、突然パタリと食べなくなったり、拒否したりすることがあります。それもやはり「マイナスギャップ」が原因です。
具体例をここから挙げていきましょう。その子にとって好きなヨーグルトがあったとします。しかし、とあるタイミングで”いつものヨーグルト”が用意できず、別のヨーグルトを用意したとします。
その時に何も予告や注意がないと、子どもにとっては見た目でしか判断できないので「いつもの美味しいヨーグルト」という食べる前のイメージと、食べてみたときの「いつもと違う味だ!(しかも美味しくなかった)」という食べた時の結果で、大きなマイナスギャップが生まれます。
そうすると「ヨーグルトを食べるのが怖い」というように(今まで好んで食べていたものを含め)ヨーグルトそのものを拒否するようになるのです。
食わず嫌いを減らす声かけや関わり方
ですから、結論としてやってはいけないことを分かりやすくお伝えすると(仮に騙すつもりはなかったとしても)「騙した形で食べさせること」です。なぜなら、これによってマイナスギャップを生むことが多いからです。
理想的なのは「苦手な可能性があるものは予告をすること」です。これを重ねていくと安心して食べられることにも繋がり「意外と美味しかった!」などのプラスギャップを生むことが多くなり、それが食わず嫌いの改善にもつながります。
ここでもしかしたら「苦手を予告したら、食べなくなるのでは?」と思うかもしれません。しかし、実際のところは時間の経過とともに、あなたが勧めたものを口をつけてくれることが多くなります。
なぜなら、その積み重ねが「あ、この先生は、自分が苦手なところをしっかりと把握して、事前に教えてくれるな!」と、信頼関係の構築につながり、それが安心して口をつけられることにも繋がるからです。
ここまでを総括すると「安心して食べられるように関わることが大切なんだ」と覚えてもらうのが良いかもしれませんね。
最後に。「口をつけてもらうこと」を目標にしないことが大切
今回は食わず嫌いをメインのテーマとしてお伝えしてきました。
「子どもの食を広げたい」という思いから「ひと口でも口をつけてもらいたい」と思う大人は多いですし、その気持ちはとてもよく分かります。
ですが、その”頑張らせたひと口”が「嫌い」に繋がることも少なくありません。
焦らず、子どもの感覚に合ったものから、少しずつステップアップしていくことを第一に考えるようにしましょう。
▼合わせて読みたい