【保育園・小学校給食】食べ過ぎの助長にも?よく食べる子への声かけは超重要!【2022年9月】

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今月はとても重要な「よく食べる子への声かけや対応」についてです!

なぜ重要かというと、よく食べる子への声かけが、よく食べる本人はもちろん、食べない子も含めた周りの子の食欲などに影響することがあるからです。

後半では、食べる意欲を向上させる声かけやコツについても紹介していますので、ぜひ以下よりお読みください!

  • よく食べることを褒めることにはメリットだけではなく、デメリットもある
  • 給食の場合は特に、よく食べる子への対応が周りのそれ以外の子に大きく影響をする
  • 摂食量(食べた量)だけでの、栄養状態の評価は本来不完全
  • 過剰に褒めなくても、食べる意欲をアップさせる声かけや対応がある

●その他、本テーマに関連する解説記事はこちら

▶︎【図解】給食指導「好き嫌いしないで食べよう!」は難しい?

▶︎【図解】子どもが給食を食べられない3つの理由

ちょっと待って!食べたら「えらい」

きゅうけん資料よく食べる子にどんな声かけをしていますか?
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あなたは普段、よく食べる子にどんな声かけをしていますか?

食べたら「えらい!」などと言ったり、たくさん食べることを褒めたりすることが多いかもしれませんし、無意識的にそう言ってしまう場合もあると思います。給食きゅうけんイラストたしかに、それによって「食べる意欲が向上する」というメリットもありますが、”褒めすぎ”の場合や、給食などで周りの子への配慮がない場合などには、デメリットや落とし穴があることは知っていますか?

今回はこの内容から、子どもたちの食を広げるヒントをお伝えしていきます。

食べ過ぎに繋がる他、デメリットの具体例

よく食べることを過剰に褒めすぎると「いっぱい食べることは良くて、食べないことは悪い」という価値観が形成されることがあります。

そうすると、

●食べ過ぎる子がさらに食べてしまう(肥満の助長)
→肥満やその肥満傾向にある子にとって、食べ過ぎることへの注意が薄くなり、さらに肥満が助長されることがあります。

●食べない子の自己肯定感が下がる
→食べない子(たくさん食べられない子)が「自分は食べられないからダメだ」と思うようになり、自己肯定感が低下し、そこから食欲も減衰することがあります。※こちらに関しては以前『調査結果「残してもいい」が子どもの食欲増加に』という記事なども興味深い結果が出ているので、一読することをオススメします。

●小学校給食の場合、食べない子への「いじめ」につながる例も
→「食べることがよくて、食べないことが悪い」の価値観がクラスの共通認識になると、食べられない子がいじめに遭ったという相談例も過去に実際にありました。

●家庭などで全部食べるまで時間がかかっても食べようとする
→給食だけではなく家庭でも「時間がかかっても最後まで食べようとする」など、子どもの食事時間が長くなることで片付けが進まないなど、家庭の負担が増えることもあります。

そういったデメリットがあります。
食べることを褒めるデメリット 画像
とはいえ、なんとなく無意識的に、よく食べる子に対して「えらい!」などと言ってしまいがちですよね。その声かけが悪いわけではありませんが、上記のような可能性に想像が及ぶかどうかはとても大切なことです。

食べた時にどんな対応・声かけをしたら良い?

では、子どもがよく食べた時には、どんな声かけをしたら良いでしょうか?

そもそもの前提として、食べる・食べないには個人差があるので、その子に合わせた目標を設定することが大切です。その上で「●●美味しかったね!」などと気持ちに共感してあげたり「●●に口をつけられたね!」と少しの前進を認めてあげたりすることで、過剰に褒めなくても食べる意欲を向上させることができます。

その子のことをよく理解し、その上で目標を設定し、少しずつステップアップしていくことで、食は広がっていきます。ステップアップさせる声かけについては「【図解】食べない子になんて声をかけたらいい?」を一度読んでみてください。

ここで、1つ知っておきたいこととして、そもそも摂食量(食べた量)だけでの栄養状態の評価は本来不完全であり、(子どもの場合は)成長曲線の推移などを用いて評価することが推奨されています。

なぜなら、人にって栄養の吸収率が違うからですね。つまり、AくんとBくんが同じおにぎりを1個食べたとしても、それをどれくらい栄養として吸収しているかは、AくんとBくんで違います。(たくさん食べても太りにくい人っていますよね。)

こちらに関しては「【図解】給食をあまり食べない子の栄養は大丈夫?」でも、詳しく取り上げているので、一度読んでみることをオススメします。

栄養のことに話が逸れてしまいましたが、給食時間が子ども達にとって「心が満たされる時間になっているかどうか」という基準を1番大切にしてください。

最後に

今回は「よく食べる子への声かけ・対応」について取り扱ってみました。

このテーマは編集部内で「食べた時に”えらい!”ってよく言っちゃうけど、”えらい”って違和感があるよね・・・」という話から深掘りしていこうとなりました。

たとえば、他のことに置き換えてみると・・・

「勉強ができて、えらい!」、「速く走れて、えらい!」

・・・やはり、違和感を感じます。

これを聞いた「勉強が苦手な子」「走るのが苦手な子」は何を思うでしょうか?

たしかに「自分も頑張るぞ!」と思う子も一定はいるかもしれませんが、大多数は「できない自分はだめだ」と思い、勉強や走ることへの意欲は低下するのではないでしょうか?

そして、食べない子(食べられない子)も同様です。

繰り返しになりますが、その子のことをよく理解し、その上で目標を設定し、少しずつステップアップしていくことで、食は広がっていきます。

そのような関わりを意識していきたいですね!

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本記事の担当編集者
山口 健太

『月刊給食指導研修資料|きゅうけん』 編集長
株式会社日本教育資料 代表取締役
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 代表理事

岩手県盛岡市出身。学生時に「会食恐怖症」を発症し、他人と食事ができなくなった経験を持つ。その中で「食べられない」ことへの適切な対応や支援が、子どもたちと関わる教育者に広まっていないことを痛感。メディア「月刊給食指導研修資料|きゅうけん」を立ち上げ「楽しく食べることが、社会の幸せを作る」という思いで活動している。著書に『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)ほか数冊。

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