毎月、先生や我が子の給食に悩む保護者のための給食指導に関する情報を、分かりやすく1枚のイラスト付きの図解資料にまとめ、文章でも詳しくお届けします。
資料はご自由に印刷していただいて構いません。小中学校・保育所での給食指導、クラス担任を持つ先生へ配布する資料としてご活用できます。職員室内・職員会議にて、全職員に回覧していただくことで、組織全体の業務改善・トラブル回避にもつながります。(資料のダウンロードリンクは目次のすぐ下にあります。)
今回は、食べるのが遅い子にとって「給食時間が短い」と感じる場合に、時間内に食べ終わることができるようになる指導の工夫やヒントをお伝えします。
実際にこのような指導をしている学校・クラスがあると聞き、早速取り上げてみました。
先生はもちろん、保護者の方も先生に相談する際のヒントとして活用できるはずです。
- 給食時間が「短い」と感じる子は多い
- 先に「いただきます」をしてOKにする
- 食べるのが遅い原因をしっかり考える
給食時間を短いと感じている子は多い
※「時間内に食べ終われない子への指導のヒント」のPDFはこちらから保存・ダウンロード
「給食の時間が短いこと」は、食べるのが遅い子にとっては大変です。実際、調査*などを参考にしても、給食を時間内に食べきれない子は「給食時間が短い」と感じていることが多いようです。
(*参考文献:木口 智美, 石原 由香, 多田 由紀, 古庄 律, 内藤 信, 日田 安寿美, 川野 因.小学校給食における喫食時間と残食率の関連性の検討.日本栄養士会雑誌.2012)
一方で、多くの学校で給食の時間を伸ばすことは現実的には難しく、それ以外の工夫が必要になります。
その工夫には、
- 給食の準備を早くする
- 時間を意識して食べるようにする
- 食べることだけに集中する時間を作る
などがありますが、今回はその工夫の1つとして、既に取り組み始めている学校もある「先に食べ始めてOKにする指導」を紹介します。
「先に食べ始めてOKにする指導」とは
時間内に食べ終われないことが多い子に対して「先に量を減らす」という指導は広がってきましたが、該当の子が給食当番ではない時に「先に配膳して先に食べ始めてOKにする」という指導をしている先生もいます。これをすると、その子にとって食べる時間を長くすることができます。
ただ、先に食べ始めたとしても、みんなで「いただきます」をするタイミングでは、いったん食べるのをやめて「いただきます」をするようにします。
また、その指導に対して、周りの子から「先に食べてズルい」などと言われないような、周知や普段から雰囲気作りも大切になります。その際には以前作成した記事「給食を嫌がる子どもにどうすればいい?」なども1つの参考になるはずです。
食べることが遅い原因は?
「食べるのが遅くて時間内に食べられない」という問題は、食べる時間が長くなれば全て解決というわけではありません。
以下のような問題に該当しないかも、確認してみましょう。
(詳しくは「どうする?食べるのが遅い子ども(保育園児・小学生向け)」の解説記事も参考にしてください)
上記のような問題には該当せず、「単純に食べる時間が短くて、それが苦痛になっている」という場合であれば、今回の指導の工夫は有効だと考えます。
食べるのが遅い子への指導のヒントとして参考になれば幸いです。
最後に
いかがでしたか?
近年の給食指導では、食べられない子に対して個別的な指導が求められています。
これからも、きゅうけんで紹介する情報が、色々な指導のヒントになれば幸いです。
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