毎月、先生や我が子の給食に悩む保護者のための給食指導に関する情報を、分かりやすく1枚のイラスト付きの図解資料にまとめ、文章でも詳しくお届けします。
資料はご自由に印刷していただいて構いません。小中学校・保育所での給食指導、クラス担任を持つ先生へ配布する資料としてご活用できます。職員室内・職員会議にて、全職員に回覧していただくことで、組織全体の業務改善・トラブル回避にもつながります。(資料のダウンロードリンクは目次のすぐ下にあります。)
今月取り上げるのは「ひと口も食べない子」についてです。
保育園・幼稚園・小学校などの給食で、多少の好き嫌いなどの問題ではなく「全く口にしない、ひと口も食べない子」がたまにいます。
こういった場合、いったい何が起きているのか?身体の仕組みから理解していきましょう。
どうして、ひと口も食べられない?
※「ひと口も食べない子には、一体何が起きている?」のPDFはこちらから保存・ダウンロード
給食の時間になると、給食をひと口も食べない子に悩むことがあります。
このような場合、その子は食べることに関して、心理的なストレスを感じていることが多く、それが食欲の低下に繋がります。
食べられない3つの理由
給食を食べられない子がいる場合、以下のような3つの理由から考えると整理しやすくなります。
「ひと口も食べない」などの極端な場合は、精神的な理由が含まれていると考えられます。
※感覚的な理由については「【図解】特別支援学級にも多い?感覚的な問題からくる偏食への指導①&②」。機能的な理由については「【図解】子どもの食事に時間がかかる1番の原因?機能的な問題について」。理由をもっとしっかりと把握したい場合は「【保育園から活用可】給食を食べない理由がわかる!フローチャート&チェックリスト」という記事が参考になります。
今回の記事では、以下より心理的なストレスと食欲の関係についてを知り、食べない子(食べられない子)への理解を深めましょう。
心理的なストレスにより食欲は低下
仮に空腹状態だとしても、ストレスを感じていれば、食欲は湧きません。
以下より、身体的な仕組みからの3つの理由を解説します。
ホルモンの分泌による食欲の低下
ストレスを感じると、アドレナリンやコルチゾールなどのストレスホルモンが分泌されると言われています。これらのホルモンは食欲を抑制します。
神経伝達物質の変化による食欲の低下
ストレスが神経系に与える影響により、食欲を制御する神経伝達物質が変化すると言われています。セロトニンやドーパミンのバランスを乱すことがあり、これが食欲低下に繋がります。
消化器官への影響による食欲の低下
ストレスが消化器官に影響を与えて、胃の動きや消化酵素の分泌が変化すると言われています。これが胃腸の不快感や消化機能の低下に繋がり、食欲低下を引き起こします。
健全な食欲が湧き出るのには、空腹だけではなく、リラックスできていることも大切なのです。
対応のポイントは苦痛を取り除くこと
ひと口も食べられない子に対しての対応のポイントは「苦痛を取り除くこと」です。
その際にはまず、時間、空間、仲間という“3つの間“から対応を考えてみます。
・時間→早く食べなきゃいけない、いつまでも食べさせられる等をやめる。等
・空間→その子にとって、落ち着いて食べられる環境を作る。等
・仲間→周りの大人が無理強いしない。好きなお友達と食べてみる。等
こういった観点から、苦痛を取り除き、安心できる食環境をまずは作ってあげてください。
不安を聴いて、認めてあげることが大切
またもう1つ大切なのは、給食や食べられないことへの不安を、しっかりと聴いて、認めげあることです。
その際には、以下のようなステップで考えてみます。
理由に関しては、子どもが正しく自分が食べられない理由を説明できるわけではないので、対応のヒントにしたり、理由を聞くなどの深いコミュニケーションを取ることで、その子が安心して過ごせるようになることが目的です。
これについては詳しくは「登校拒否の場合も!給食を嫌がる子どもにどうすればいい?」でも解説していますので、そちらも参考にしてください。
最後に
今月号はいかがでしたか?
給食を極端に食べられない場合、苦痛を取り除くという視点に立つことが大切です。ぜひ参考にしてください。
ちなみに、きゅうけんは今月から活動をして4年目がスタートとなりました!
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