「きゅうけん|月刊給食指導研修資料」では、毎月先生や保護者のために、給食指導や子どもの食に関する情報を分かりやすいイラスト付きの図解資料1枚にまとめ、さらに詳しい解説を文章でもお届けします。
資料はご自由に印刷していただいて構いません。小中学校・保育所での給食指導、クラス担任を持つ先生へ配布する資料として活用できます。職員室内・職員会議にて、全職員に回覧していただくことで、組織全体の業務改善・トラブル回避にもつながります。(図解資料のダウンロードリンクは目次のすぐ下をチェック!)
あなたのクラスでは、給食時間などで子どもが体調が悪いときに「体調が悪いから食べられない」とオープンに言える雰囲気になっていますか?
今月は、給食時間での声かけや食べられない子への理解を深める内容です。
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※「Vol.50「食べられない」が言える給食になっていますか?」はこちらから保存・ダウンロード!
「残さず食べなきゃ」「好き嫌いしてはいけない」などのプレッシャーから「食べられない」という本音を伝えられずに苦しんでいる子がいるかもしれません。
以下より、子どもが安心して「食べられない」と言える給食環境の大切さを考えていきましょう。
頑張って食べる子は9割近く?
少し前の調査になりますが、小学校高学年の子どもたちに「体調が悪いときに給食をどうしますか」という質問に対して「頑張って食べる」ということを「よくする」「時々する」と回答した子が9割近くだったというものもあります。
(小学校5・6年生132名対象、出典 学校保健研究, 2012; 53:490-492)
その背景には「残さず食べる子のほうがえらいから頑張らなきゃ」「好き嫌いはわがままだと思われるから言えない」といった考えがあるのかもしれません。
もちろん、バランスの良い食事はもちろん大切ですが、体調が優れない時は、無理せず量を減らすという選択も同じくらい重要です。
その大切さを子どもたちに伝えることはできていますか?
頑張って食べるが危険な理由
体調が良い悪いに関わらず「頑張って食べる」というのは、危険な側面があることも知っておきましょう。
給食が食べられないことには理由があります。その理由に適切な対応せずに頑張らせてしまった場合、その食べ物がさらに嫌いになることや、場合によっては誤嚥や窒息などの事故につながる可能性も……。
もちろん、食べることを勧めることが悪いわけではありません。しかし、その子にとってハードルが高い勧め方になっている場合には注意が必要です。
給食を食べられない理由については「子どもが給食を食べられない3つの理由」、その子に応じた勧め方のステップについては「食べない子になんて声をかけたらいい?」の記事が参考になります。
「食べられない」が言える環境の大切さ
給食が食べられないことを、オープンに言える環境かどうかは非常に重要です。
では、どうすれば子どもたちは安心して「食べられない」と言えるようになるのでしょうか。
大切なのは、日頃の声かけです。「好き嫌いはダメ」「残さず食べなさい」といった声が多い環境では、子どもは本音を言い出しにくいものです。
「体調が悪い時は無理して食べなくてもいいし、それも大切なことなんだよ」と直接教えてもいいでしょう。
また「今日はどれくらい食べられそう?」「苦手なものがあったら教えてね」など、一人ひとりの状態に寄り添う声かけが、普段から安心して気持ちを伝えられる環境を生み出します。
子どもたちが「頑張って食べているのかどうか」を知るために、一度クラスで「あまり食欲がない時でも、給食を頑張って食べている人は手を挙げて教えてください」と、子どもたちに聞いてみることも明日からすぐできることとしてオススメです。
普段からの声かけについては「【保育園・小学校】子どもへの食事における声かけ変換表①&②」という記事が参考になります。
最後に
今回で記念すべき50回目の配信となりました!今月の内容はいかがでしたか?
「頑張って食べること」は栄養補給のために大切という考えもありますが、体調が悪い時に無理して食べることで、さらに体調が崩れてしまうこともあります。
今の時代「残さず食べなさい!」と、あまり直接的に言わなくなっているかもしれませんが、一方で「子どもの残食を減らすにはどうしたらいいんだろう」と、疑問に思っている人たちは多いと思います。
実は「食べ残しを減らそう」「無理して食べなくてもいい」どちらにとっても大切な考え方を勉強する機会を、6月21日(土)に開催します。
具体的には、食品ロスの専門家でもあり『食品ロスはなぜ減らないの?』『食品ロスの経済学』などの著者でもある、日本女子大学教授の小林富雄先生からの特別講演会などを開催します。
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