毎月、先生や保護者のために、給食指導や子どもの食に関する情報を分かりやすいイラスト付きの図解資料1枚にまとめ、さらに詳しい解説を文章でもお届けします。
資料はご自由に印刷していただいて構いません。小中学校・保育所での給食指導、クラス担任を持つ先生へ配布する資料として活用できます。職員室内・職員会議にて、全職員に回覧していただくことで、組織全体の業務改善・トラブル回避にもつながります。(図解資料のダウンロードリンクは目次のすぐ下をチェック!)
今月は以前から「取り上げてほしい!」と読者さんからの要望が多かった「子どもの食事マナー指導」についてです。
子どもが食事のマナーを身につけるには、どんなサポートが必要でしょうか?
今回はそもそもマナー指導はなぜ必要か、どういう考え方でサポートをすれば良いのかなどの要点をお伝えします。
食事のマナー指導の目的
※Vol.48 子どもへの食事マナー指導で気をつけたいことはこちらから保存・ダウンロード!
そもそも、なぜ食事のマナー指導が必要なのでしょうか?
それは、楽しい雰囲気の中で会食できるようにするためです。
食器の使い方や食事の時の話題選びなどの食事のマナーを身に付けることが、楽しい共食につながることや、一緒に調理したり食事をしたりすることを通してコミュニケーションを図り、心を豊かにすることが大切である。
※文部科学省『食に関する指導の手引-第二次改訂版-』19ページより
ですからもし厳しいマナー指導によって、楽しい食事の時間が損なわれてしまえば「本末転倒」といえます。
ではどうして、厳しい指導になってしまうことがあるのでしょうか。それは子どもができない理由・背景を考えず、大人目線で指導してしまうからです。
マナーが治らないときに考えるべきこと
マナー指導をする際には、ただ理想の状態を指摘するのではなく、できない背景を考えた上で、ステップバイステップでサポートする必要があります。
よくある例
×「姿勢を崩さず食べなさい!」
背景の例→椅子や机の高さが合わず、姿勢を保つことが難しい
サポートの例→子どもの足裏が床につき、ひざやひじが直角になるように椅子や机の高さを調整する。
×「肘をつかずに食べなさい!」
背景の例→椅子や机の高さが合わず、肘をつかないと安定して食べられない。
サポートの例→椅子の高さを調整し、足裏が床につくようにして体幹をサポートする。
×「しっかりと箸を持ちなさい!」
背景の例→運動発達に遅れがあり、器用な動きが難しい
サポートの例→まずは指先の動きに慣れる遊びや練習から始めたり、必要な場合は補助器具を活用し、小さな成功体験を積み重ねる。
×「くちゃくちゃ音を立てて食べるのはやめなさい!」
背景の例→口の動き(咀嚼や唇の閉じ方)が未熟で、上手に噛んだり飲み込んだりできない。
サポートの例→口腔機能の獲得をサポートする。※詳しくは「食事に時間がかかる1番の原因?機能的な問題について」を一度お読みください。
×「こぼさずに食べなさい!」
背景の例→手先のコントロールがまだ十分でなく、スプーンや箸からこぼれやすい。
サポートの例→正しい持ち方・口への運び方を、大人がゆっくり実演しながら子どもの手を添えてサポートする
背景の例とサポートの例はあくまで一例ですが、このように「できない背景」を踏まえた上で、適切な対応を考えていきます。
箸を持てなかった子が、食べられるようになるまで
こちらは実際にあった、支援の例です!(公立小学校勤務の栄養教諭の先生談)
「入学した頃、箸が全く持てない子いました。グー握りになってしまうのです。もちろん鉛筆もグー握りで、ひらがなを練習するどころではないので、1学期の間、支援員の先生が付きっきりで鉛筆持ちの練習を続け、2学期あたりから鉛筆を持てるようになっていきました。
グー握りの間は箸ももちろん持てないので、まず食べることが嫌い。肉、魚はさしばしでも食べられるのでひとかけらは食べる、ごはんは粒をすくえないのもあってか嫌がっていました。
でも、鉛筆持ちができるようになり、箸を下から支えて持てるようになってくると、少しずつごはんも他の食材にも箸をつけるようになりました。
2学期の途中から補助箸をお家から持ってきてもらいましたが、本人に合わなかったみたいで、別のを試してもダメで、学校の箸を使い続け、持ち方や使い方に慣れていきました。3学期には、量は少ないものの給食に出る8割くらいの食材は食べるようになりました。」
このように「●●しなさい!」ではなく、適切な支援とサポートが必要です。
最後に
今月号はいかがだったでしょうか?
食事のマナー指導に関して「こんな例で困っています!」などがあれば「きゅうけんマガジン」から気軽にメール・LINEを送ってください。
また、4月は慣れない環境も重なり、食欲が湧かない子も多いです。
安心安全な環境づくりを第一優先に、長い目で見て少しずつ食べられるようなサポートを心がけていきましょう。
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