【保育園/小学校の給食】保護者から多い要望と対応&伝えるポイント【2023年3月】

きゅうけんサムネ26 月刊イラスト付き資料

毎月、先生のための給食指導に関する情報を、分かりやすく1枚のイラスト付きの図解資料にまとめ、文章でも詳しくお届けします。

資料はご自由に印刷していただいて構いません。小中学校・保育所での給食指導、クラス担任を持つ先生へ配布する資料としてご活用できます。職員室内・職員会議にて、全職員に回覧していただくことで、組織全体の業務改善・トラブル回避にもつながります。(資料のダウンロードリンクは記事目次のすぐ下にあります。)

今回は「保護者から多い要望と対応のポイント」がテーマです。

後半では「保護者が先生に向けてどう伝えたら良いのか」についてもお伝えするので、先生と保護者の方どちらもお読みいただければ幸いです。

  • その要望の背景にはどんな悩みがあるのか考えてみる
  • 給食で食べる、家では食べない場合は「習慣」が問題かも
  • 安心できて、楽しいと感じられる給食時間が大切

●その他、本テーマに関連する解説記事はこちら

▶︎【0歳・1歳・2歳】保育園の給食指導のポイント

▶︎先生45人に聞いた!給食指導でのコツや大切なこと&悩みの1位は?

給食における要望が多くなっている


「給食で保護者から多い要望と対応のポイント」のPDFはこちらから保存・ダウンロード

近年、給食においても「個別的な相談指導」を求められる背景もあり、保護者から子どもの給食についての要望が多くなっています。

今回に資料では、対応のポイントとよくある要望の例と対応のヒントについてイラスト付きでわかりやすくお伝えしています。

以下より解説していきますね。

対応の大切なポイント

保護者と先生が話しているイラスト
(1)なぜその要望が出ているのか背景を捉える
→例えば「量を減らして欲しい」という要望があった場合、なぜそのような要望が出ているのかを考えたり、聞いてみたりするようにしましょう。ここで「給食を完食しなければいけないことがプレッシャーになっている」という背景が見えてきたら「減らせばOK」ではなく、完食へのプレッシャーを取り除くことが優先的な対応になります。

(2)保育園で出来ること/家庭で出来ることを分けてお伝えする
→園や学校の方針にもよりますが、多すぎる要望に対しては、給食における指導の限界があるはずです。そういった場合には「ここまでは保育園(あるいは学校)で出来るが、ここからは家庭で必要なこと」と分けてお伝えすることが大切です。

よくある要望の例と対応のヒント

保護者と先生が話しているイラスト
・「うちの子は偏食で決まったものしか食べません」
→例えば、文科省の『食に関する指導の手びき(第二次改訂版)』を参考にすると、偏食の子に対しては「まずはにおいを嗅ぐところからでもOK」とされています。においを嗅ぐのも感覚的に拒否する場合もあるので、無理させることなくスモールステップで勧めていきましょう。

・「小食で完食するのが難しいです」
→以前『【調査結果】「残さず食べなさい」の声かけで食欲が低下』という記事で紹介した通り、「完食しなければいけない」ということがプレッシャーになると、さらに食欲が低下することがあります。その子にとって負担にならない量を配膳するなどの工夫をしましょう。

・「もっと食べさせてほしい/食を広げる支援にもっと力を入れて欲しいです」
→園(や学校)の方針や今行っている工夫をお伝えしましょう。それに併せてご家庭で出来ることもお伝えできると尚良いですし、きゅうけんの過去資料を保護者にお渡しするのもヒントになります。

・「給食では食べるのに家では食べません」
→家庭での習慣などに食べない原因があることがあります。その可能性を示唆してあげるのも良いかもしれません。

給食で食べて、家で食べないのはなぜ?

私のところにもよく届く保護者からの質問に「給食では食べているのに、家では食べないのはどうしてか」という質問があります。
ピーマンの肉ずめを拒否する子どもと首をかしげる大人のイラスト
これはほとんどの場合「給食が美味しくて、家での食事が美味しくない」という理由ではありません。多くの場合は「習慣」が理由です。

「習慣」という中で一番可能性として高いのは「食べられる時間/食べられない時間が明確になっているかどうか」という点です。

学校の場合は給食の時間だけ、保育園の場合は給食とおやつの時間だけしか食べることは出来ないはずです。これは明確になっている例です。

明確になっていると、食べられる時間に食べないと、ずっと食べられません。

しかし、家庭でその区分が曖昧な場合は「いま食べなくても別の時間に食べたらいいや」となることがあり、それが「給食では食べているのに、家では食べないこと」に繋がります。

もちろん、全てがこの理由ではないですが、当てはまることが多いです。

他にも「環境」が要因になることもあります。たとえば、給食だと、椅子やテーブルが子どもが食べやすいような高さに最適化されているけど、家ではあまり最適化されていないとか、給食だと、テレビやYoutubeを見ながら食べないけど、家だと見ながら食べる環境になっている…など。

先生が保護者に家庭での食事環境をあまり深くは聞きづらいと思いますので「多くの場合はこういう可能性があるみたいですよ」という程度で、お伝えするくらいが良いかもしれません。

保護者としてどう伝えたら良い?

保護者の立場では、先生や園・学校側に要望をどう伝えたら良いでしょうか?

先生の立場からすると「なるべく具体的にしてほしい対応を伝えてもらった方が助かる」という声が多いです。

その際に、私がオススメしているのは、口頭だけの説明ではなく、文章などにしてお渡しすることです。そうすることで、伝達ミスが少なくなったり、あとで振り返ることができたりします。(きゅうけんの資料も用いると良いと思います。)

※参考になりそうな資料
▶︎先生でも分かる会食恐怖症【2021年2月】

▶︎子どもが給食を食べられない3つの理由【2021年4月】

それから「これはしないでください!」「あれはしないでください!」という要望よりは、例えば「無理をさせない方が結果的に安心して食べられる量が増えるようです」というように「こうするとうちの子は、食欲が湧いて食べられることが多いようです」というような書き方をすることも、要望を汲み取ってもらえるひと工夫になります。

最後に

いかがでしたか?

(園や学校にもよりますが)給食という集団指導が前提の場だと、個別的な対応に限界があるかもしれません。

その際に思い出していただきたいのは、安心して過ごせて、楽しいと感じられるような給食時間になっているかどうかです。

そこさえ失わなければ、子どもたちの食を広げる支援に繋がっていると私は思います。

▼合わせて読みたい

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本記事の担当編集者
山口 健太

『月刊給食指導研修資料|きゅうけん』 編集長
株式会社日本教育資料 代表取締役
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 代表理事

岩手県盛岡市出身。学生時に「会食恐怖症」を発症し、他人と食事ができなくなった経験を持つ。その中で「食べられない」ことへの適切な対応や支援が、子どもたちと関わる教育者に広まっていないことを痛感。メディア「月刊給食指導研修資料|きゅうけん」を立ち上げ「楽しく食べることが、社会の幸せを作る」という思いで活動している。著書に『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)ほか数冊。

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