少年野球でも食トレ?スポーツする子への食事指導で気をつけたいこと【2022年8月】

きゅうけん19サムネ 月刊イラスト付き資料

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今月は夏休み特別号ということで、スポーツをする子への食事指導について扱ってみました。

「こんな指導には要注意!」という点や、その理由やどうすれば良いのかについても本解説記事では詳しくお伝えしていきますので、ぜひ読んでみてください。

  • 子どもに見合った食事指導になっているかを確認しよう
  • たくさん食べても胃が大きくなるわけではない
  • 「楽しい食事」が損なわれるような食トレは不要

●その他、本テーマに関連する解説記事はこちら

▶︎【図解】あまり食べない子の栄養は大丈夫?

▶︎【図解】子どもが給食を食べられない3つの理由

子どもに見合った内容になっている?

19-スポーツをする子への食事指導で気をつけたいこと
『スポーツをする子への食事指導で気をつけたいこと』のPDFはこちら(右クリックで保存できます)

スポーツをする子に対して適切な食事の指導は大切です。一方で、指導している子どもたちに食事指導の意図をちゃんと伝えていますか?食事指導の内容は一人ひとりの食べられる量や嗜好、成長段階に見合った内容となっていますか?
きゅうけん食トレイラスト
時として、競技成績の向上が第一目的となり、成長過程であることが見落とされ、見合わない量の運動量や食事指導により「むしろ食欲不振になってしまう」、「競技自体が嫌いになる」、「部活動やスポーツクラブをやめてしまう」など苦しみ悩む子どもたちからの声を聞くことがあります。

こんな指導法には要注意

食トレ注意点まとめ
「たくさん食べると胃が大きくなる!」等と言われることがありますが、たくさんの量を胃に詰め込んでも胃の大きさ自体が変わるわけではありません。(胃は伸縮性があるので、たくさん食べた後に一時的に伸びることはありますが、元に戻ります。)

実際には、人間にはホメオスタシス(恒常性)という働きもあるので、毎日少しずつ食べる量を増やすことで、1度に食べられる量を徐々に増やしていくことは可能です。しかし「胃を大きくするために無理やり胃に詰め込む」などは、間違った方法ですので、行わないようにしましょう。

また、子どもが食べることにプレッシャーを感じてしまうと、それが原因で食欲不振に陥ることがあります。健全な食欲には「空腹」と「リラックス」の2つの柱が大切になりますので、その点を忘れないようにしましょう。

食べられる量には個人差があります。周りの子と比べてあまり食べていなくても①身長と体重が順調に増えている②慢性的な怪我や故障はない③心理的な落ち込みがないという場合は十分だと考えても問題ありません。

繰り返しになりますが「たくさん食べること」を迫ることで、それがプレッシャーとなり、食欲不振に陥ることもあります。競技成績の向上のためにたくさん食べることを指導しても、それによって心が壊れてしまえば元も子もありません。周りと比べるのではなく、その子に応じた指導を心掛けましょう。

少年野球でも食トレ?そもそも必要なのか

「食トレ」という言葉があります。これは「食べることもトレーニングの一環」という考えの元、高校などの運動部で強豪校が行っていることから、少しずつ広まっていったものだと言われています。最近では少年野球や小中学生向けのスポーツクラブでも、行われている場合もあるようですが、そもそも必要なのでしょうか?

もちろん、運動で大量に消費するエネルギー量を食事で補うことは大切です。また筋肉の修復や成長のためのも、必要な栄養素を補うことも大切です。そういった意味でも、適切な知識を与えて、子どもが自ら「食事は大切だ」と前向きな興味を持ってもらえるような食事へのアプローチは重要です。

しかし、先の”要注意”に当たるような「楽しい食事の時間」が失われた食トレであれば不要であり、長い目で見ると失うものの方が大きいと考えます。

「楽しい」などの前向きな感情こそ食の広がりや、スポーツの競技成績の向上の土台にもなります。
楽しい食事が食を広げる
「楽しい食事の時間」を大切にしましょう。

最後に

いかがでしたか?

このような問題には、スポーツの指導者が熱心で、なかなか周りの大人が口を出せないなどのこともあると思います。また部活動でどのような食事の指導が行われているかなどは、給食などに比べるとブラックボックス化しており、大きな問題があっても、気づきにくいなどの点もあるでしょう。

今回の記事をきっかけに、少しでもスポーツの現場でも「楽しい食事の時間」が増えることを祈っております。

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本記事の担当編集者
山口 健太

『月刊給食指導研修資料|きゅうけん』 編集長
株式会社日本教育資料 代表取締役
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 代表理事

岩手県盛岡市出身。学生時に「会食恐怖症」を発症し、他人と食事ができなくなった経験を持つ。その中で「食べられない」ことへの適切な対応や支援が、子どもたちと関わる教育者に広まっていないことを痛感。メディア「月刊給食指導研修資料|きゅうけん」を立ち上げ「楽しく食べることが、社会の幸せを作る」という思いで活動している。著書に『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)ほか数冊。

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