少食・偏食の子の情報、ちゃんと引き継げてる?新担任に伝えるべき4つのこと【2026年3月】

きゅうけんサムネ56 月刊イラスト付き資料

【結論】給食に不安がある子の情報は、「少食です」「偏食があります」だけでは新担任に伝わりにくい。4つのポイントを踏まえた「どう関わればいいか」まで伝えることで、新年度のスタートがスムーズになる。

【根拠】進級や入学時の引き継ぎでは、給食よりも人間関係や生活・学習面が優先されがち。口頭での申し送りは他の子の情報と混ざりやすく、書面での申し送りはじっくり読む時間がない。意識的に伝えないと、給食の情報は引き継がれにくい。

【本記事を読むメリット】新担任がすぐに適切な対応ができる「引き継ぎの4つのポイント」と、すぐに使えるテンプレートメモも付録として配信。また保護者が新年度の先生に伝えるコツも解説。

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新年度に向けて、給食のことをどう引き継ぐ?資料画像
Vol.56『新年度に向けて、給食のことをどう引き継ぐ?』(PDFを保存できます)

年度末は引き継ぎの季節。進級や入学で環境や担任の先生が変わります。

「この子への関わり方、次の先生にもちゃんと伝わるかな…」と感じたことはありませんか?

実は、給食に不安がある子のことは、意識的に伝えないと引き継がれにくいのが現状です。

今回は、新担任がスムーズに対応できるようになる「引き継ぎの4つのポイント」と、保護者が先生に伝えるときのコツを解説します。

給食のことは引き継ぎで伝わりにくい?その理由とは

結論:給食に不安がある子のことは、意識的に伝えないと引き継がれにくいのが現状。

年度末の引き継ぎでは、学習面や人間関係、生活面など、伝えるべき情報がたくさんあります。

その中で「給食のこと」は、どうしても優先度が下がりがち。結果として、新担任に十分な情報が伝わらないまま新年度がスタートしてしまうことがあります。

なぜ給食の情報は引き継がれにくいのか?よくある2つのケースを見てみましょう。

case1:進級の引き継ぎ(前担任→新担任)

  • 前担任:「口頭で伝えたつもりだけど、どこまで伝わったか…」
  • 新担任:「聞いたはずだけど、他の子の情報と混ざってしまう」

進級時の引き継ぎは、年度末〜新年度準備の忙しい中で行われます。

口頭だけでさらっと伝えると新担任の記憶に残りにくく、他の子の情報と混同してしまうことも。「あれ、この子はどうだったっけ?」と曖昧になってしまうケースは少なくありません。

case2:入学時の申し送り(園→小学校)

  • 園の先生:「給食より人間関係のことを優先して書きがち」
  • 小学校の先生:「申し送り書類は、じっくり読む時間がない」

園から小学校への申し送りでよくあるのが、園の先生は「友だち関係」や「集団生活での様子」など給食以外の情報を優先することです。

また小学校の先生は新入生全員分の書類に目を通す必要があり、細かい部分まで読み込む時間がないこともあります。

【ポイント】
給食に不安がある子のことは、意識的に・具体的に伝えないと、新担任には届きにくい。

「少食です」「偏食があります」だけでは足りない理由

結論:その子の状況だけでは、新しい先生が「どう関わればいいか」が見えてこない。

給食のことを伝えようとしたとき、こんな伝え方になりがちではありませんか?

  • 「〇〇さんは少食です」
  • 「△△くんは偏食があります」

もちろん、これも大切な情報です。しかし、これだけでは新担任は具体的にどう対応すればいいか分かりません。

たとえば「少食です」と聞いた新担任は、こう思うかもしれません。

「少食」って、どれくらい?半分?3分の1?
最初から減らして盛ればいいの?それとも本人に聞く?
残したらどう声をかければいいんだろう?

「偏食があります」も同様です。

何が苦手なの?野菜全般?特定のもの?
苦手なものが出たとき、どうすればいい?
前のクラスでは残してもいいってことになってたのかな?

「少食」「偏食」というだけでは、具体的な関わり方が分からないのです。

結果として、新担任は手探りで対応することになります。

  • 前年度までうまくいっていた対応が引き継がれない
  • 子どもに合わない声かけや関わりをしてしまう
  • 結果的に子どもが「給食の時間がつらい」と感じてしまう

もし前任が上手に関わっていたとしても、1年かけて築いた関係や対応が、リセットされてしまうのはもったいないですよね。

【ポイント】
引き継ぐなら「どう関わればいいかのヒント」まで伝えることができたらベスト!次のセクションで、具体的に伝えるべき「4つのこと」を紹介します。

引き継ぎで伝えると役立つ『4つのこと』

結論:以下の4つを伝えることで、新担任がすぐに適切な対応ができるようになる。

「少食です」「偏食があります」だけでなく、「どう関わればいいか」まで伝えることで、新担任は初日からスムーズに対応できます。

具体的には、以下の4つの情報を伝えましょう。

①今の状態

例:「給食は半分くらいが適量」「初めての料理は警戒が強い」

まずは、現在の子どもの状態を具体的に伝えましょう。

  • どれくらいの量が適量か
  • 苦手な食材・料理は何か
  • 食べるペースはどうか
  • 初めてのメニューへの反応

「少食」と一言で言っても、「全体的に少ない」のか「特定のものだけ食べられない」のか受け取り方が先生によって異なります。できるだけ具体的に伝えることがポイントです。

②今年度やってきた対応

例:「最初から少なめに盛っている」「無理に食べさせていない」

次に、これまでどんな対応をしてきたかを伝えましょう。

  • 配膳時の量の調整
  • 声かけのタイミング
  • 苦手なものが出たときの対応
  • 食べる時間の配慮

新担任がゼロから試行錯誤する必要がなくなり、前年度の対応をベースにスタートできます。

③うまくいった関わり方

例:「苦手なものは『どうする?』と聞くと自分で決められる」「『においをかぐ』ことから『食べる』につながった」

この子に効果があった具体的な関わり方を伝えましょう。

  • どんな声かけが響いたか
  • どんなステップで食べられるようになったか
  • 本人が安心できた対応

「こうすればうまくいく」という成功パターンを共有することで、新担任も自信を持って関われるようになります。

④避けた方がいいこと

例:「『頑張って』というと固まる」「完食のために時間を延ばすと『給食=つらい』になりやすい」

最後に、やらない方がいい関わり方も伝えておきましょう。

  • プレッシャーになる声かけ
  • 逆効果だった対応
  • 子どもが嫌がったこと

”良かれ”の対応が逆効果になることもあります。「これは避けてほしい」ということを事前に伝えておくことで、先生と子どもの不安を最小限に抑えられます。

【まとめ】

  1. 今の状態:どれくらい食べられる?苦手なものは?
  2. 今年度やってきた対応:どんな配慮をしてきた?
  3. うまくいった関わり方:何が効果的だった?
  4. 避けた方がいいこと:何をしない方がいい?

この4つを伝えることで、新担任は「どう関わればいいか」が明確になり、子どもも安心して新年度を迎えられます。

【付録有り】引き継ぎメモの書き方

結論:口頭だけでなく「書面」で残すことで情報が確実に伝わる。すぐに使えるテンプレートを活用しよう。

口頭での引き継ぎは、どうしても情報が抜け落ちたり他の子の情報と混ざったりしがちです。

そこでおすすめなのが、「引き継ぎメモ」を書面で残すこと。今回は、すぐに印刷して使えるテンプレートを付録としてご用意しました。

▶︎「給食 引き継ぎメモ」テンプレートのダウンロードはこちら(無償で印刷・配布OKです)

テンプレートの内容解説

このテンプレートは、先ほど紹介した「4つのこと」に加え、保護者の様子や新担任へのメッセージ欄も含めた構成になっています。

【テンプレートの項目】

  1. 今の状態:食べられる量、苦手なもの、初めての料理への反応
  2. 今年度やってきた対応:量の調整、声かけ・配慮
  3. うまくいった関わり方:効果があった声かけ・対応
  4. 避けた方がいいこと:逆効果だった声かけ・対応
  5. 保護者の様子:相談の有無、保護者の姿勢
  6. 新担任へ、一番伝えたいこと:自由記述欄

記入例はこちら

実際にどう書けばいいか、記入例を紹介します。

項目 記入例
①今の状態 給食全体の5割くらいが適量。野菜全般が苦手。初めての料理は警戒が強い。
②今年度やってきた対応 最初から少なめに盛っている。苦手なものは一口だけ挑戦を促すが、無理強いはしない。
③うまくいった関わり方 「どうする?」と聞くと自分で決められる。「においをかぐだけでもOK」と伝えると安心する。
④避けた方がいいこと 「頑張って」と言うと固まる。時間を延ばして食べさせようとすると逆効果。
⑤保護者の様子 給食について相談を受けたことがある。聞けば教えてくれるタイプ。
⑥新担任へ一言 4月は環境の変化で食べられなくなるかも。最初の1ヶ月は様子を見ながら、焦らず関わってほしい。

※記述欄に記入する時間がなくてもOK。チェックをつけるだけ、記入できるところを部分的にでも、十分な情報になります!

活用のコツ

  • 年度末に記入:3月中に、気になる子の分を記入しておく
  • 引き継ぎ時に手渡し:口頭での説明と合わせて、メモを渡す
  • 新担任が保管:4月以降、いつでも見返せるようにファイリング

口頭+書面のダブルで伝えることで、情報の抜け漏れを防げます。ぜひご活用ください。

よくある質問(Q&A)

Q1. 引き継ぎメモは、クラス全員分書いた方がいいですか?

A. 全員分は必要ありません。給食に不安がある子や、特別な配慮が必要な子に絞ってOKです。

「この子のことは次の先生に伝えておきたい」と感じる子がいれば、その子の分だけでも十分に価値があります。1人分でも書いておくことで、新担任の初動が変わります。

Q2. 口頭で伝えるだけではダメですか?

A. 口頭だけだと、情報が抜け落ちやすいです。

年度末〜新年度は引き継ぐ情報が多く、口頭で聞いた内容は他の子の情報と混ざったり、忘れてしまったりしがち。書面で残しておけば、新担任がいつでも見返せます。

理想は「口頭+書面」のダブルで伝えること。口頭で概要を伝え、メモを渡しておくと確実です。

Q3. 保護者から新しい担任の先生に伝える場合、どうすればいいですか?

A. 新年度の面談や連絡帳で「5つのポイント」を意識して伝えましょう。

先生に伝わりやすく、受け取ってもらいやすい伝え方には、以下の5つのポイントがあります。

  1. 食べられない理由を伝える:「感覚的に受け付けないものが多い」など具体的に
  2. 家庭でしている工夫を伝える:学校に任せきりではないことが伝わる
  3. 本人の気持ちを伝える:「プレッシャーで食欲がなくなる」など子どもの声を
  4. これまでの経験を伝える:「こういう雰囲気だと食べられた」など過去の体験
  5. お願いではなく「お助け情報」として伝える:先生も受け取りやすい

口頭だけでなく、お手紙など形に残るものでお渡しすると、先生も読み返せるので安心です。

【もっと詳しく知りたい方へ】
保護者が先生に伝えるときの具体的な書き方や、先生となかなかうまくいかないときの対処法は、山口健太の著書『偏食の教科書』で詳しく解説しています。

Q4. 新担任として引き継ぎを受ける側ですが、何を聞けばいいですか?

A. 「4つのこと」を聞いてみてください。

前担任に以下を確認してみましょう:

  • 「どれくらいの量が適量でしたか?」
  • 「どんな対応をしていましたか?」
  • 「うまくいった関わり方はありますか?」
  • 「これは避けた方がいい、ということはありますか?」

聞く側から質問することで、口頭だけの引き継ぎでも具体的な情報を引き出せます。

Q5. 引き継ぎメモのテンプレートは、園や学校で自由に使っていいですか?

A. はい、無料で印刷・配布OKです。

今回ご用意したテンプレートは、園内・校内での印刷・配布は自由にお使いいただけます。

職員室に置いておく、年度末の引き継ぎ資料として活用するなど、ご自由にご活用ください。ただし、テンプレート自体を販売する、自作のものとして公開するなどはご遠慮ください。

最後に

給食に不安がある子にとって、新年度の環境変化が大きな不安要素になることがあります。

前担任がうまく関わっていたとしても、それが伝わらなければ、新担任は手探りで対応。結果として、子どもが「また最初からやり直し」になってしまうことも。

しかしちょっとした引き継ぎの工夫で、子どもの新年度がぐっとラクになります。

今回ご紹介した「4つのポイント」や「引き継ぎメモ」等を活用して、子どもや先生にとっても安心して新年度を迎えられるお手伝いになればと思い作成しました!

ぜひご活用くださいね。来月号もお楽しみに!

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本記事の担当編集者
山口 健太

『月刊給食指導研修資料|きゅうけん』 編集長
株式会社日本教育資料 代表取締役
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 代表理事
食べない子専門カウンセラー

岩手県盛岡市出身。学生時に「会食恐怖症」を発症し、他人と食事ができなくなった経験を持ち、2016年末から支援活動を始める。その中で「食べられない」ことへの適切な対応や支援が、子どもたちと関わる教育者に広まっていないことを痛感。専門カウンセラーとして3,000件超を個別支援し、問題解決に導いてきた。2020年にメディア「きゅうけん|月刊給食指導研修資料」を立ち上げ「楽しく食べることが、社会の幸せを作る」という思いで活動している。食育の講演や研修を累計100回以上(のべ1万名)以上に実施。

著書に、『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)ほか8冊、海外でも翻訳出版され、国際的にも影響を与えている。

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