【給食指導】食べない子への個別対応は「ずるい」こと?【2025年11月】

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【結論】給食指導における個別対応は必要な支援の一つです。

【根拠】個別対応をすることで子どもの食に関する問題を解決することに繋がります。また厚生労働省や文部科学省のガイドラインでも、個別的な相談や指導は「必要なもの」という記載があります。

【本記事を読むメリット】給食指導における個別対応の必要性を分かりやすく解説。加えて各省庁のガイドラインの箇所を時間のない先生向けにピックアップしました。さらに個別対応をした際の周りからの「ずるい」の声を防ぐ方法まで解説したので、まずは以下よりご覧ください。

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食べられない子や食に関する問題を抱えている子に対して、個別的な対応しようと考える先生は多くいます。

一方で、他の子どもたちや周りの職員から「ずるい」の声を恐れて、踏み切れない場合がありませんか?

今回は個別対応の必要性や、ずるいの声をどう解消するのかについて要点を絞ってお伝えします。

給食における個別対応は必要な支援

黒板の文字が見えない子を前の席に移動させるのと同様、給食における個別的な対応も「特別扱い」ではなく「必要な支援」です。

これはアレルギー対応以外も同様です。たとえば、小食や偏食なども含めた食べられない子の支援、食が関係する疾患を有する場合なども含まれます。

各省庁のガイドラインを確認しよう

保育者等が子どもの身体発育・発達、食べる機能、食欲、味覚の発達過程を丹念に観察する能力をもつとともに、その発達状況に応じて、食品の種類、量、大きさ、固さ、食具等を配慮し、食に関わる体験が広がるよう工夫することが重要である。また、一人一人の月(年)齢、発育状態、日々の体調等の健康状態、生活リズム(睡眠)、保育時間、食物アレルギー等のきめ細かな対応、障害のある子どもの食べる機能の発達状態等、様々な状況に応じた個別対応が欠かかせない(後略)(※厚生労働省『保育所における食事の提供ガイドライン』31ページより引用)

個別的な相談指導は、発育・発達期である児童生徒が健康に過ごすために必要であるとともに、将来に向けた望ましい食生活の形成を促すためにも重要であると言えます。(中略)また、個別的な相談指導は、学校全体で取り組み、対象となる児童生徒の抽出は、主に学級担任が行い、実際の指導は、栄養教諭が中心となり関係者と連携を取りながら実施します。(中略)学校では、偏食のある児童生徒、肥満・やせ傾向にある児童生徒、食物アレルギーを有する児童生徒、スポーツをしている児童生徒、食行動に問題を抱える児童生徒を対象とした個別的な相談指導が想定されます。また、栄養や食が関係する疾患を有する児童生徒についても、本人や関係者から相談指導の依頼があった場合は対応します。(※文部科学省『食に関する指導の手引き(第二次改訂版)』234ページより引用)

一方で、子どもに食に関する問題があっても、どのように対応したら良いかが分からないかもしれません。

その場合はぜひ問題やテーマに沿ったきゅうけんのこれまでの図解資料をご活用ください!

ずるいの声を防ぐには?

個別対応をしようとした時に、周りから「ずるい」の声が出るかもしれないと不安になることが多いかもしれません。

その時には以下の3つと共に、周囲に説明をすることが大切です。

1.理由があること
例:●●を食べたら、気持ち悪くなって吐いてしまった経験があり、そのときの嫌な記憶が残っている。

2.支援が必要なこと
例:無理に食べさせるのではなく、まずは安心して食事の時間を過せるサポートが必要。

3.チャレンジしていること
例:見る、においをかぐなど、その子なりに少しずつチャレンジしようとしている。

過去記事では「おかわりのルールや対応」「乳糖不耐症で牛乳が飲めない子の対応」なども具体的に扱っていますので、気になる記事があればご覧ください。

よくある質問(Q&A)

Q1. 個別対応は「特別扱い」ではなく本当に必要な支援ですか?

A. はい。学習機会と健康を保障するための必要な支援です。厚生労働省・文部科学省のガイドラインでも、発達や健康状態、食物アレルギーや偏食などの状況に応じた個別的な相談・指導の必要性が明記されています。

Q2. 具体的にどんな子どもが個別対応の対象になりますか?

A. 例として、小食・偏食(感覚過敏を含む)食物アレルギー食が関係する疾患発達特性による困り緊張や不安で食べ進められない場合など。理由に応じて、量・形状・提供順・環境(席/におい/時間)を調整します。

Q3. 「ずるい」と言われないために、周囲にはどう説明すれば良いですか?

A. 次の3点セットで共有します。
理由がある:過去の嘔吐や強い嫌悪などの背景があること。
支援が必要:無理強いではなく安心できる環境づくりが目的。
チャレンジ中:見る・においをかぐ等のスモールステップで前進していること。
口頭での説明や、場合によっては学級通信や掲示で「みんなが学べる環境を整えるための支援」であると伝えるのも効果的です。

Q4. 実務で使える個別対応の例は?

A. 量の調整(最小量から)/形状・温度の工夫(小さく切る・やわらかめ・温冷の調整)/提供順(食べやすい物から)/席や環境(におい・視覚刺激の配慮)/時間配分(前半は観察と声かけ)/記録と振り返り(成功例を次回につなげる)など。

バラバラ指導には、研修の導入もおすすめです

給食指導の方針が共有されていなかったり、バラバラになってしまっていると、個別対応がし辛く「ずるい」の声も挙がりやすくなります。

その場合、まずは一度こちらの「給食指導が職員間でバラバラになっていませんか?」を読んでみましょう。

また「給食指導に関する研修」の実施もオススメです。

今回のテーマに関するものとして私たち「きゅうけん」では、保育園向けには「適切な保育・不適切な保育(食育・給食編)」。学校向けには「食に関する個別的な相談・指導をどう進めたらいい?」という研修を用意しています。

最後に

今月号はいかがでしたか?

きゅうけんの資料も53回目の配信となりました。

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本記事の担当編集者
山口 健太

『月刊給食指導研修資料|きゅうけん』 編集長
株式会社日本教育資料 代表取締役
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 代表理事
食べない子専門カウンセラー

岩手県盛岡市出身。学生時に「会食恐怖症」を発症し、他人と食事ができなくなった経験を持ち、2016年末から支援活動を始める。その中で「食べられない」ことへの適切な対応や支援が、子どもたちと関わる教育者に広まっていないことを痛感。専門カウンセラーとして3,000件超を個別支援し、問題解決に導いてきた。2020年にメディア「きゅうけん|月刊給食指導研修資料」を立ち上げ「楽しく食べることが、社会の幸せを作る」という思いで活動している。食育の講演や研修を累計100回以上(のべ1万名)以上に実施。

著書に、『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)ほか8冊、海外でも翻訳出版され、国際的にも影響を与えている。

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