【根拠】「食べない」から「食べられる」には、知らない→知る→興味を持つ→触れる→食べる、という5つのステップがあります。子どもが食べないとき「知らない」段階で止まっているだけのことも多く、わがままでも偏食でもありません。
【本記事を読むメリット】給食や食卓の場ですぐ使える「4つの声かけ」を知ることで、「食べなさい」と言わずに子どもの食への関心を引き出せるようになります。
給食に悩む先生・保護者向けに毎月図解PDFと解説記事を配信。無料でご自由に印刷&回覧OK!ぜひあなたの園や学校でご活用ください。▶詳細「マンガでわかる!きゅうけん」
今月号のイラスト付き図解資料はこちらからダウンロード

※ 「Vol.58 「食べない子」は「知らないだけ」かもしれません」印刷用PDFはこちらから(遷移先で保存できます)
今月のきゅうけんは、食べない子への「伝え方」をテーマに、給食・食事の場ですぐ実践できる4つの声かけをまとめました。
給食時間中やお家での食卓での会話。食育だより(給食だより)にも活用できる内容です!
ぜひご活用ください!
「食べない子」はわがままじゃない、ただ「知らないだけ」
「この子はいつも食べない」「どうせ食べてくれない」そう感じたことはありませんか?

でも少し立ち止まって考えてみてください。その子は「わがまま」なのではなく、ただ「知らないだけ」かもしれません。
見たことも、名前も、味も知らない食べ物を、あなたなら口に入れられるでしょうか?大人でも、旅行先で見たことのない料理が出てきたとき、まず見た目を確認したり、どんな味か聞いたりしてから食べるはずです。子どもも同じです。
要点:「食べない」子に対して、「知らないだけなのかも?」と考えてみよう。
「食べない」から「食べられる」には5つのステップがある
子どもが食べられるようになるまでには、大きく分けて次の5つのステップがあります。

- 知らない(名前も味も食感も知らない)
- 知る(どんな食べ物かわかる)
- 興味を持つ(食べてみようかなと思う)
- 触れる(匂いを嗅ぐ、少し口に当てる)
- 食べる(実際に口に入れられる)
(詳しくは「Vol.3 食べない子になんて声をかけたらいい?」参照)
「食べなさい!」がなぜ効かないのか、その理由がここにあります。「知らない」段階の子に「食べる」を求めるのは、ステップを3〜4段飛ばしているようなものです。
まずは「①知らない」→「②知る」へ進む手助けをしてあげましょう。その入り口になるのが、今回ご紹介する「4つの伝え方」です。
食事中に伝えたい4つのこと

「見守るだけ」でも「食べなさい」でもない、第三の関わり方が「伝える」です。食事中に、その食べ物について少し話してみるだけでOKです。伝えてほしいのは、次の4つのことです。
①何という食べ物か
結論:名前を知るだけで、「正体不明の恐怖」がぐっと減ります。
見たことも、名前も知らない食べ物は、子どもにとって「正体不明のもの」です。正体がわからないものを口に入れるのは、大人でも怖いですよね。
まずは名前を教えるところから始めましょう。

- 「これ、トマトっていうんだよ」
- 「実はじゃがいもさんの仲間なんだよ(※同じナス科)」
- 「赤くて丸い形をしてるね」
食べさせようとしなくていいのです。「知っている食べ物」にしてあげることが、最初の一歩です。
②どんな味や食感か
結論:「美味しいよ」よりも、味や食感を率直に伝えたほうが、子どもの不安を減らせます。
口の中でどんな感じがするかを予測できると、子どもの「怖さ」がぐっと減り、手を伸ばしやすくなります。
- 「シャキシャキしてるよ」
- 「酸っぱいから気をつけて」
- 「よく噛むと甘くなるんだよ」
NG:「美味しいよ!食べてみて」
→大人の感想であり、子どもには情報がない。美味しくなかったら「嘘つき」になってしまう。
OK:「ちょっと苦いから、大人の味だよ」
→正直な情報があると、子どもは「覚悟」して口に運んでネガティブな記憶が残りにくい。
③なぜ食べるといいか
結論:「食べなさい」より「食べるといいことがある」という情報を伝えよう。
命令ではなく、情報として伝えましょう。子どもは意外と素直に受け取ってくれます。
- 「体を守ってくれるんだよ」
- 「風邪をひきにくくなるよ」
- 「骨が強くなるんだよ」
「食べなさい」は行動の強制ですが、「〇〇になるよ」は情報の提供です。同じ食べてほしいという気持ちでも、受け取り方がまったく変わります。

④どう食べるか
結論:食べ方を知らないまま「嫌い」になっている子もいます。コツを伝えるだけで変わることがあります。
「嫌い」と思っているものでも、食べ方を変えると印象が変わることがあります。
- 「少しだけかじって試してみたら?」
- 「苦手なものを先に食べると、好きなものがもっとおいしく感じるよ」
- 「一回口に入れて、もし嫌だったら出してもいいよ」
「食べなさい」という圧力ではなく、「こうやって食べると食べやすいよ」というアイデアの提供です。子どもに選択の余地を残すことで、挑戦へのハードルが下がります。
「伝える食育」は特別な時間じゃなくていい

結論:食事中に食べ物について話すだけで、立派な食育の一つです。
「食育」と聞くと、特別な授業や活動のイメージがあるかもしれません。でも、給食の時間に「これ、〇〇っていうんだよ」とひと言添えるだけでも、十分な食育になります。
大切なのは順番です。「ひと口食べてみたら?」という前に、まず「知る」手助けをしましょう。知らないまま食べることを求めるより、知った上で「食べてみようかな」と思ってもらうほうが、子どもにとってずっと自然なステップです。
よくある質問(Q&A)

Q1. 毎回4つすべて伝えないといけませんか?
A.その必要はありません。「今日は名前だけ教えよう」「今日は食感を伝えてみよう」というように、1つでも十分です。毎日少しずつ積み重ねることで、子どもの「知っている食べ物」が増えていきます。
Q2. 「わがまま」と「知らないだけ」はどう見分ければいいですか?
A.食べないのは「わがまま」ではなく、何かしらの理由があります。理由については「子どもが給食を食べられない3つの理由」を参照にしてください。
Q3. 伝えても全然食べない場合はどうすればいいですか?
A.「伝える」のゴールは「食べさせること」ではなく、「知らない→知る」へ進むことです。今日食べなくても、名前や味を知ったことは確実に積み重なっています。焦らず続けましょう。
Q4. 給食の時間が短くて、声かけの余裕がありません。
A.配膳のときや食べ始める前の一言でも十分です。「これ、ピーマンだよ。ちょっと苦いけど噛むと甘くなるよ」この一言で①名前②食感③食べ方の3つが伝えられます。
Q5. 偏食が強い子にも同じ声かけは効きますか?
A.偏食の程度や背景にもよりますが、「知る」段階を丁寧に積み重ねること自体は、偏食にも有効です。ただし感覚の問題、機能的な問題がある場合、また食事のリズムが崩れている場合は、そちらに目を向けることも重要です。
最後に
今月号はいかがでしたか?
「知らないだけ」と気づくだけで、子どもへの見方がちょっと変わります。
ぜひ普段の給食時間やお家での食卓の声かけ、あるいは食育だより(給食だより)の中でもご活用ください。
また、先日は新刊の予約キャンペーンを行い、たくさんの方にご参加いただきました!(おかげさまでAmazonで5つのカテゴリーで1位も獲得できました)
発売を記念したイベントなども行う予定ですので「きゅうけんマガジン(登録無料)」をご購読していただき、お知らせをお待ちいただけますと幸いです。
▼合わせて読みたい



