食べない子への4つの声かけ!「わがまま」でなく「知らないだけ」かも?【2026年6月】

きゅうけんサムネ58 月刊イラスト付き資料
【結論】食べない子への最初の一歩は「食べなさい」でも「ひと口食べすすめる」でもなく、子どもの「知らない」を汲み取り、それに沿った声かけをしてみることです。

【根拠】「食べない」から「食べられる」には、知らない→知る→興味を持つ→触れる→食べる、という5つのステップがあります。子どもが食べないとき「知らない」段階で止まっているだけのことも多く、わがままでも偏食でもありません。

【本記事を読むメリット】給食や食卓の場ですぐ使える「4つの声かけ」を知ることで、「食べなさい」と言わずに子どもの食への関心を引き出せるようになります。

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今月のきゅうけんは、食べない子への「伝え方」をテーマに、給食・食事の場ですぐ実践できる4つの声かけをまとめました。

給食時間中やお家での食卓での会話。食育だより(給食だより)にも活用できる内容です!

ぜひご活用ください!

「食べない子」はわがままじゃない、ただ「知らないだけ」

「この子はいつも食べない」「どうせ食べてくれない」そう感じたことはありませんか?

ピーマンの肉ずめを拒否する子どもと首をかしげる大人のイラスト

でも少し立ち止まって考えてみてください。その子は「わがまま」なのではなく、ただ「知らないだけ」かもしれません。

見たことも、名前も、味も知らない食べ物を、あなたなら口に入れられるでしょうか?大人でも、旅行先で見たことのない料理が出てきたとき、まず見た目を確認したり、どんな味か聞いたりしてから食べるはずです。子どもも同じです。

要点:「食べない」子に対して、「知らないだけなのかも?」と考えてみよう。

「食べない」から「食べられる」には5つのステップがある

子どもが食べられるようになるまでには、大きく分けて次の5つのステップがあります。

食べない子が変わる5つのステップ

  1. 知らない(名前も味も食感も知らない)
  2. 知る(どんな食べ物かわかる)
  3. 興味を持つ(食べてみようかなと思う)
  4. 触れる(匂いを嗅ぐ、少し口に当てる)
  5. 食べる(実際に口に入れられる)

(詳しくは「Vol.3 食べない子になんて声をかけたらいい?」参照)

「食べなさい!」がなぜ効かないのか、その理由がここにあります。「知らない」段階の子に「食べる」を求めるのは、ステップを3〜4段飛ばしているようなものです。

まずは「①知らない」→「②知る」へ進む手助けをしてあげましょう。その入り口になるのが、今回ご紹介する「4つの伝え方」です。

【POINT】1つの食材を食べられるようになるまでに、半年〜数年かかる場合もあります。焦らず、スモールステップで。まずは「知る」だけでも大きな前進です。

食事中に伝えたい4つのこと

食事中に伝えたい4つのこと

「見守るだけ」でも「食べなさい」でもない、第三の関わり方が「伝える」です。食事中に、その食べ物について少し話してみるだけでOKです。伝えてほしいのは、次の4つのことです。

①何という食べ物か

結論:名前を知るだけで、「正体不明の恐怖」がぐっと減ります。

見たことも、名前も知らない食べ物は、子どもにとって「正体不明のもの」です。正体がわからないものを口に入れるのは、大人でも怖いですよね。

まずは名前を教えるところから始めましょう。

子どもが知らない食材を教える大人

  • 「これ、トマトっていうんだよ」
  • 「実はじゃがいもさんの仲間なんだよ(※同じナス科)」
  • 「赤くて丸い形をしてるね」

食べさせようとしなくていいのです。「知っている食べ物」にしてあげることが、最初の一歩です。

②どんな味や食感か

結論:「美味しいよ」よりも、味や食感を率直に伝えたほうが、子どもの不安を減らせます。

口の中でどんな感じがするかを予測できると、子どもの「怖さ」がぐっと減り、手を伸ばしやすくなります。

  • 「シャキシャキしてるよ」
  • 「酸っぱいから気をつけて」
  • 「よく噛むと甘くなるんだよ」
【NG/OK比較】
NG:「美味しいよ!食べてみて」
→大人の感想であり、子どもには情報がない。美味しくなかったら「嘘つき」になってしまう。

OK:「ちょっと苦いから、大人の味だよ」
→正直な情報があると、子どもは「覚悟」して口に運んでネガティブな記憶が残りにくい。

③なぜ食べるといいか

結論:「食べなさい」より「食べるといいことがある」という情報を伝えよう。

命令ではなく、情報として伝えましょう。子どもは意外と素直に受け取ってくれます。

  • 「体を守ってくれるんだよ」
  • 「風邪をひきにくくなるよ」
  • 「骨が強くなるんだよ」

「食べなさい」は行動の強制ですが、「〇〇になるよ」は情報の提供です。同じ食べてほしいという気持ちでも、受け取り方がまったく変わります。

声かけによる違い

④どう食べるか

結論:食べ方を知らないまま「嫌い」になっている子もいます。コツを伝えるだけで変わることがあります。

「嫌い」と思っているものでも、食べ方を変えると印象が変わることがあります。

  • 「少しだけかじって試してみたら?」
  • 「苦手なものを先に食べると、好きなものがもっとおいしく感じるよ」
  • 「一回口に入れて、もし嫌だったら出してもいいよ」

「食べなさい」という圧力ではなく、「こうやって食べると食べやすいよ」というアイデアの提供です。子どもに選択の余地を残すことで、挑戦へのハードルが下がります。

「伝える食育」は特別な時間じゃなくていい

きゅうけんサイト使用画像
結論:食事中に食べ物について話すだけで、立派な食育の一つです。

「食育」と聞くと、特別な授業や活動のイメージがあるかもしれません。でも、給食の時間に「これ、〇〇っていうんだよ」とひと言添えるだけでも、十分な食育になります。

大切なのは順番です。「ひと口食べてみたら?」という前に、まず「知る」手助けをしましょう。知らないまま食べることを求めるより、知った上で「食べてみようかな」と思ってもらうほうが、子どもにとってずっと自然なステップです。

よくある質問(Q&A)

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Q1. 毎回4つすべて伝えないといけませんか?

A.その必要はありません。「今日は名前だけ教えよう」「今日は食感を伝えてみよう」というように、1つでも十分です。毎日少しずつ積み重ねることで、子どもの「知っている食べ物」が増えていきます。

Q2. 「わがまま」と「知らないだけ」はどう見分ければいいですか?

A.食べないのは「わがまま」ではなく、何かしらの理由があります。理由については「子どもが給食を食べられない3つの理由」を参照にしてください。

Q3. 伝えても全然食べない場合はどうすればいいですか?

A.「伝える」のゴールは「食べさせること」ではなく、「知らない→知る」へ進むことです。今日食べなくても、名前や味を知ったことは確実に積み重なっています。焦らず続けましょう。

Q4. 給食の時間が短くて、声かけの余裕がありません。

A.配膳のときや食べ始める前の一言でも十分です。「これ、ピーマンだよ。ちょっと苦いけど噛むと甘くなるよ」この一言で①名前②食感③食べ方の3つが伝えられます。

Q5. 偏食が強い子にも同じ声かけは効きますか?

A.偏食の程度や背景にもよりますが、「知る」段階を丁寧に積み重ねること自体は、偏食にも有効です。ただし感覚の問題、機能的な問題がある場合、また食事のリズムが崩れている場合は、そちらに目を向けることも重要です。

最後に

今月号はいかがでしたか?

「知らないだけ」と気づくだけで、子どもへの見方がちょっと変わります。

ぜひ普段の給食時間やお家での食卓の声かけ、あるいは食育だより(給食だより)の中でもご活用ください。

また、先日は新刊の予約キャンペーンを行い、たくさんの方にご参加いただきました!(おかげさまでAmazonで5つのカテゴリーで1位も獲得できました)

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本記事の担当編集者
山口 健太

『月刊給食指導研修資料|きゅうけん』 編集長
株式会社日本教育資料 代表取締役
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 代表理事
食べない子専門カウンセラー

岩手県盛岡市出身。学生時に「会食恐怖症」を発症し、他人と食事ができなくなった経験を持ち、2016年末から支援活動を始める。その中で「食べられない」ことへの適切な対応や支援が、子どもたちと関わる教育者に広まっていないことを痛感。専門カウンセラーとして3,000件超を個別支援し、問題解決に導いてきた。2020年にメディア「きゅうけん|月刊給食指導研修資料」を立ち上げ「楽しく食べることが、社会の幸せを作る」という思いで活動している。食育の講演や研修を累計100回以上(のべ1万名)以上に実施。

著書に、『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)ほか8冊、海外でも翻訳出版され、国際的にも影響を与えている。

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