【根拠】年齢が上がると脳の発達により、食べることを行動に移せるようになります。一方で「食べないとダメ」という声かけは罰のように感じ、主体性が失われ、長期的には逆効果。ポジティブな情報を繰り返し伝えると「食べてみよう」という気持ちが少しずつ育っていきます。
【本記事を読むメリット】年齢別の発達差、具体的なフレーズ、NG声かけ、その他Q&Aを図解とともにサクッと把握できます。
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普段から「好き嫌いをしないこと」や「食べ残しを減らすこと」の大切さを伝えているかもしれません。
ですが、無理強いや押し付けは、かえって逆効果になります。
子どもが主体的に「食べてみようかな」と思えるようになるためには、大人の関わり方がとても大切です。
年齢による違いも押さえながら、ポジティブな情報を繰り返し伝えることを意識してみましょう。
「健康のために食べよう」ができるのは何歳から?
結論:小学校高学年くらいから少しずつできるようになる!
「健康のために食べよう」などの情報を伝えたときに、子どもは何歳くらいからその意味を理解し、行動に移すことができるのでしょうか?年齢別で見てみましょう。
・小学校低学年……「栄養になる」「体を守る」といった説明を理解できても、まだ「食べない」が優先されやすい。
・小学校高学年以降……「苦手だけど少しは食べてみよう」という行動が、少しずつできるように。
※もちろん、発達には個人差があります。
また、普段の偏食相談の場などでは「中学生以降になってから食べられるようになった」というケースも多くあります。これはポジティブな情報がその子の中で溜まったことや、周りの目(食べられないものが少ないことへの恥意識が強まる等)の影響なども多いように感じています。
とはいえ、偏食の場合にはその子に応じた理由が必ずあるので、その理由に基づいた対応が必要です。(参考「感覚的な問題からくる偏食①②」 他)
どんな声かけをするといい?
結論:ポジティブな情報を伝えることが大切
たとえば「野菜を食べることの大切さ」を一つとっても、どのように伝えるかで子どもが受ける印象はまったく異なります。
×「野菜を食べないと体に悪いから食べなさい」
→ 強制されると“食べることが罰”のように感じ、自分から食べるのではなく、受け身になっていきます。
○「野菜は体を守ってくれる働きがあるんだよ」
→ 良いことがあると繰り返し伝えることで、「食べることは大切なんだ」と理解し、自分から食べることにつながっていきます。
ここで「食べない」→「食べられる」に至るまでには、以下のような5つのステップがあると考えてみましょう。
「食べられる」以前の段階で「興味を持つ」ということが大切なので、前向きな興味をもつことにつながる声かけや関わりが重要です。
よくある質問(Q&A)
Q. 言葉の意味が理解できない年齢でも、ポジティブな声かけは意味がある?
A. 小さくて大人の説明を理解できない年齢に対しても、繰り返しのポジティブな声かけによって、将来的な「食べてみよう」という行動を引き出せることが、多くの研究でも報告されています。(例:Dearden et al., 2009DOI)
Q. 「きょう食べられなかった」ときは、どう声をかければいい?
A. 率直に「今日、食べられなくても大丈夫だよ」と伝えることも大切で、子どもが食べられない理由を考えてみましょう。
Q. ネガティブな声かけ(「食べないとダメ」など)をするとどうなる?
A. 「食べる=罰」と感じてしまい、子どもの主体性が失われます。
Q. 少しでも食べられたとき、どんな声かけをすればいい?
A. 「ひと口食べられたね!」と出来たことを認める言葉が効果的です。達成感が「また食べてみよう」につながります。
Q. 子どもが「健康のために食べよう」と理解できるのは何歳くらい?
A. 小学校高学年ごろから少しずつ理解できるようになります。ただし発達には個人差があり、中学生以降に食べられるようになる子も多いです。
最後に
今月号はいかがでしたか?
ポジティブな声かけを意識すると、食べることにつながるだけではなく、給食そのものが子どもたちにとっても大人にとっても楽しい時間になりやすいです。ぜひ心がけてみてください。
関連して、先月(8月)はきゅうけんは休刊月でしたが、編集長の山口の個人noteで「ひと口は食べてみたら」という声かけについて解説する記事を執筆しています。
その記事も以下より読むことができますので、ぜひ参考にしてみてください。

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