「健康のために食べる」は何歳から?子どもの年齢別ポイント

きゅうけん52サムネ 月刊イラスト付き資料

【結論】小学校高学年くらいから少しずつできるようになるが、小さい頃からポジティブな情報を伝えることが大切です。

【根拠】年齢が上がると脳の発達により、食べることを行動に移せるようになります。一方で「食べないとダメ」という声かけは罰のように感じ、主体性が失われ、長期的には逆効果。ポジティブな情報を繰り返し伝えると「食べてみよう」という気持ちが少しずつ育っていきます。

【本記事を読むメリット】年齢別の発達差、具体的なフレーズ、NG声かけ、その他Q&Aを図解とともにサクッと把握できます。

本メディアについて(きゅうけんとは)
給食に悩む先生・保護者向けに毎月図解PDFと解説記事を配信。無料でご自由に印刷&回覧OK!ぜひあなたの園や学校でご活用ください。▶詳細「マンガでわかる!きゅうけん」

今月号のイラスト付き図解資料はこちらからダウンロード

子どもの「食べてみようかな」を引き出す声かけ(図解・Vol.52)

『Vol.52-子どもの「食べてみようかな」を引き出す声かけ』はこちらから保存・ダウンロード!

普段から「好き嫌いをしないこと」や「食べ残しを減らすこと」の大切さを伝えているかもしれません。

ですが、無理強いや押し付けは、かえって逆効果になります。

子どもが主体的に「食べてみようかな」と思えるようになるためには、大人の関わり方がとても大切です。

年齢による違いも押さえながらポジティブな情報を繰り返し伝えることを意識してみましょう。

「健康のために食べよう」ができるのは何歳から?

結論:小学校高学年くらいから少しずつできるようになる!

年齢別:好き嫌いと食行動の違い(乳幼児期・低学年・高学年)

「健康のために食べよう」などの情報を伝えたときに、子どもは何歳くらいからその意味を理解し、行動に移すことができるのでしょうか?年齢別で見てみましょう。

・乳幼児期……感覚刺激に基づく嫌悪感が優先されるため「苦手、嫌いだから食べない」が当たり前。

・小学校低学年……「栄養になる」「体を守る」といった説明を理解できても、まだ「食べない」が優先されやすい。

・小学校高学年以降……「苦手だけど少しは食べてみよう」という行動が、少しずつできるように。

※もちろん、発達には個人差があります。

また、普段の偏食相談の場などでは「中学生以降になってから食べられるようになった」というケースも多くあります。これはポジティブな情報がその子の中で溜まったことや、周りの目(食べられないものが少ないことへの恥意識が強まる等)の影響なども多いように感じています。

とはいえ、偏食の場合にはその子に応じた理由が必ずあるので、その理由に基づいた対応が必要です。(参考「感覚的な問題からくる偏食①②」 他)

どんな声かけをするといい?

結論:ポジティブな情報を伝えることが大切

声かけによる違い:ネガティブの弊害とポジティブの効果

たとえば「野菜を食べることの大切さ」を一つとっても、どのように伝えるかで子どもが受ける印象はまったく異なります。

×「野菜を食べないと体に悪いから食べなさい」
→ 強制されると“食べることが罰”のように感じ、自分から食べるのではなく、受け身になっていきます。

○「野菜は体を守ってくれる働きがあるんだよ」
→ 良いことがあると繰り返し伝えることで、「食べることは大切なんだ」と理解し、自分から食べることにつながっていきます。

ここで「食べない」→「食べられる」に至るまでには、以下のような5つのステップがあると考えてみましょう。

食べない子が食べられるまでの5つのステップ(解説図)

(参考 「食べない子になんて声をかけたらいい?」

「食べられる」以前の段階で「興味を持つ」ということが大切なので、前向きな興味をもつことにつながる声かけや関わりが重要です。

よくある質問(Q&A)

Q&A:年齢に応じた声かけのポイント

Q. 言葉の意味が理解できない年齢でも、ポジティブな声かけは意味がある?

A. 小さくて大人の説明を理解できない年齢に対しても、繰り返しのポジティブな声かけによって、将来的な「食べてみよう」という行動を引き出せることが、多くの研究でも報告されています。(例:Dearden et al., 2009DOI

Q. 「きょう食べられなかった」ときは、どう声をかければいい?

A. 率直に「今日、食べられなくても大丈夫だよ」と伝えることも大切で、子どもが食べられない理由を考えてみましょう。

Q. ネガティブな声かけ(「食べないとダメ」など)をするとどうなる?

A. 「食べる=罰」と感じてしまい、子どもの主体性が失われます。

Q. 少しでも食べられたとき、どんな声かけをすればいい?

A. 「ひと口食べられたね!」と出来たことを認める言葉が効果的です。達成感が「また食べてみよう」につながります。

Q. 子どもが「健康のために食べよう」と理解できるのは何歳くらい?

A. 小学校高学年ごろから少しずつ理解できるようになります。ただし発達には個人差があり、中学生以降に食べられるようになる子も多いです。

最後に

今月号はいかがでしたか?

ポジティブな声かけを意識すると、食べることにつながるだけではなく、給食そのものが子どもたちにとっても大人にとっても楽しい時間になりやすいです。ぜひ心がけてみてください。

関連して、先月(8月)はきゅうけんは休刊月でしたが、編集長の山口の個人noteで「ひと口は食べてみたら」という声かけについて解説する記事を執筆しています。

その記事も以下より読むことができますので、ぜひ参考にしてみてください。

子どもへの「ひと口は食べてみて」って本当に必要?|山口健太
とにかく、とにかく、今年の8月は暑かった。 夏休み期間ということで、今夏もたくさんの教育関係者が集まる場所で、講演会や研修会の講師をさせていただきました。 嬉しいことに、保育者・学校教職員のみなさんに向けた給食指導や食育に関する研修会では、質疑応答の時間にたくさんの質問をいただきます。 みなさん興味津々。 日頃の給食や...

▼合わせて読みたい

【保育園・小学校給食】食べ過ぎの助長にも?よく食べる子への声かけは超重要!【2022年9月】
保育園・小学校給食でのよく食べる子への声かけ・対応のコツについて。子どもの食を広げるヒント満載の内容です。
【図解】野菜が嫌いな子どもが食べられるようになる方法【2023年6月】
今回は事例を元に、野菜が苦手な子はもちろん、他の食べ物に対しても活用できる方法・関わり方を6つのステップに分解して解説。給食指導はもちろん、ご家庭での食卓でも今日からすぐに使える方法です!


最新教材完成のお知らせ
きゅうけん資料集バナー

※資料の使用について※
イラスト付き資料は、印刷なども含めてご自由に使用することができます。クラス担任を持つ先生に配布する資料としてご活用ください。また、職員室や職員会議にて全職員に回覧してください。業務改善にもつながります。

※研修会の講師依頼はこちら※
保育士向け・栄養士向け・保育施設や学校法人向けに「給食指導・食育・子どもの食事」の領域で講演、研修を承っています。オンライン・オフラインともに対応。ご相談はこちらから

本記事の担当編集者
山口 健太

『月刊給食指導研修資料|きゅうけん』 編集長
株式会社日本教育資料 代表取締役
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 代表理事
食べない子専門カウンセラー

岩手県盛岡市出身。学生時に「会食恐怖症」を発症し、他人と食事ができなくなった経験を持ち、2016年末から支援活動を始める。その中で「食べられない」ことへの適切な対応や支援が、子どもたちと関わる教育者に広まっていないことを痛感。専門カウンセラーとして3,000件超を個別支援し、問題解決に導いてきた。2020年にメディア「きゅうけん|月刊給食指導研修資料」を立ち上げ「楽しく食べることが、社会の幸せを作る」という思いで活動している。食育の講演や研修を累計100回以上(のべ1万名)以上に実施。

著書に、『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)ほか8冊、海外でも翻訳出版され、国際的にも影響を与えている。

山口 健太をフォローする

https://kyushoku.kyo-shi.co.jp/hajimemasite

イラスト付き資料の一括DLはこちら
きゅうけんで毎月発刊している、イラスト付き資料を一括で閲覧・ダウンロード出来るようになりました!
一般公開講座「食べない子の支援と対応の基礎」
受講者100名超え!公開講座も大好評。
『きゅうけん』の最新の活動情報をお届けします
公式LINEアカウントにて「きゅうけん」の最新情報をお伝えしています!


  • 記事更新の通知
  • イベントのお知らせ
  • 限定コンテンツの配信

などをお届けできれば考えています!


また『きゅうけん』についての感想や、応援のメッセージなども受け付けております!

「こういったコンテンツを作って欲しい!」

などの要望も、本アカウントにメッセージいただければ、編集部に直接届きますので気軽に送っていただければ幸いです!
月刊イラスト付き資料
SNSでシェアする
きゅうけん|月刊給食指導研修資料