【図解】野菜が嫌いな子どもが食べられるようになる方法【2023年6月】

きゅうけん29サムネイル 事例紹介

毎月、先生や我が子の給食に悩む保護者のための給食指導に関する情報を、分かりやすく1枚のイラスト付きの図解資料にまとめ、文章でも詳しくお届けします。

資料はご自由に印刷していただいて構いません。小中学校・保育所での給食指導、クラス担任を持つ先生へ配布する資料としてご活用できます。職員室内・職員会議にて、全職員に回覧していただくことで、組織全体の業務改善・トラブル回避にもつながります。(資料のダウンロードリンクは目次のすぐ下にあります。)

今回は、きゅうけん編集部メンバーで栄養教諭のめぐさんが日々の業務の中で実践している「苦手なものに挑戦する可能性がアップする関わり方」を紹介します。

タイトルの通り、野菜が苦手な子はもちろん、他の食べ物に対しても活用できる方法ですので、以下より参考にしてみてください。

  • 紹介する6つのステップで関わり方を変えてみよう
  • 「食べてみたら?とすぐ提案せずにその前のステップを大切にする
  • 「美味しい!」という感想をもらえなくても心配しなくて良い

野菜が苦手な子でも挑戦!

きゅうけん資料Vol29の「苦手な食べ物に挑戦するようになる関わり方」
「苦手な食べ物に挑戦するようになる関わり方」のPDFはこちらから保存・ダウンロード

きゅうけん編集部のメンバーで、日々小学校の給食指導を行なっている栄養教諭めぐさんが実践している「苦手な食べ物でも挑戦するようになる関わり方」を紹介します。

今回紹介するのは「1つのメニューの中に好きなもの(好きな食材)と苦手なもの(苦手な食材)が混ざっている時」に、特に使える方法です!

例として「肉野菜炒めで苦手な野菜が多めに残っている」という状況をイメージしてください。
肉野菜炒めのイラスト
ここから、6つのステップで紹介します。

①いま食べられていることを認めよう


お肉いっぱい食べられているねの声かけのイラスト
例:「お肉いっぱい食べられてるね!」など声をかける

解説:食べられていない、口をつけたれていないものを食べて欲しくても、まずは今できていることや食べられているものに目を向けて、声に出して認めるようにしましょう。

②好きなものと苦手なものを分けてみよう

好きと嫌いを分けてみる(野菜が苦手・偏食対応)
例:お皿の上で好きなものと苦手なものを目の前で分ける

解説:「混ざっているから食べない、食が進まない」というケースはよくあります。一旦、視覚的に整理をすることで、食べてみる心の準備が整うことがあります。

③好きなものを聞いてみよう

好きなものを聞いてみる声かけ
例:「お肉は美味しい?」などと好きなものについて聞いてみよう

解説:「コミットメントの法則(人は一度ある態度をとると、一貫性を保ちたがるという心理法則)」を応用。この後のステップ(食べてみる提案)に乗ってもらいやすくなります。

④一緒に食べる提案をしてみよう

食べることを提案してみる声かけの例
例:「お肉とキャベツを一緒に食べてみたら?」などと提案してみる。

解説:「ひと口」が難しそうだったら、苦手なものをほんの小さい”ひと欠片”を一緒に食べてみることを提案してみましょう。実際には日頃のスモーステップがあった上だと、さらにこの提案は成功しやすいです。
食べない子が変わる5つのステップ
詳しくは「食べない子になんて声をかけたらいい?食べない子が変わる5つのステップを紹介」を一度読んでみることもオススメです。

また、食を広げる基本的な考え方でもある「好きなものをヒントに受け入れられる感覚を広げる」というところからも、好きなものと一緒に食べる提案は有効です。

⑤食べた感想を聞いてみよう

感想を聞いてみる声かけの図
例:「どうだった?」、「どんな味がする?」などと感想を聞いてみよう。

解説:「美味しい!」を引き出す必要はありません。感想を率直に言える等、心理的に安心できる関係性が大切です。(「美味しいと言わなければいけない」などの”暗黙のルール”がある場合は食を広げるのは難しくなります。)

⑥食べられたことを教えよう

食べられることを覚えてもらうための声かけ
例:「キャベツ食べられたね」などと教えて”食べられる実感”を得てもらおう。

解説:偏食や食わず嫌いを改善するために大切なことは「ぼく(わたし)はこれを食べられるんだ」という実感を得てもらうことや、自分から食べたという経験です。しっかりと言葉に出して教えてあげることで、その実感を持ちやすくなります。

それでも拒否して食べない場合

このような関わり方をしても「なかなか食が広がらない」という場合に、見直したい3点のポイントを以下にまとめました。

・感覚的な問題で食べられるものが少ない場合は、受け入れられる感覚を「【図解】感覚的な問題からくる偏食への指導①&②」を参考にしながら整理してみる。

・これまでの信頼関係を見直して、長い目で考えるようにする。(無理やり食べさせたことがなくても、前に勧められて美味しくなかったなどの経験があると、すぐには勧めても食べない事があるため。この点については、詳しくは「【図解】なぜ子どもは食わず嫌いになるの?原因と解決策をわかりやすく解説」なども参考になります。)

・やり方(今回の6つのステップの声かけや勧め方)を真似するのではなく、解説の部分を読み返し、その意図を考えるようにする。

ぜひ、参考にしてみてください。

最後に

今月号はいかがだったでしょうか?

実は、もともと今月号はまた別のテーマでお届けする予定でした。ですが、毎月の編集会議にて、栄養教諭のめぐさんが「最近こんなことがあったよ〜」との事例シェアがあり、そこから深掘りをすることで「より具体的な関わり方」をお伝えすることができるようになりました。

「今回の記事のこういうところが良かった」などがありましたら、ぜひぜひ「きゅうけんマガジン」などでその声をお聞かせくださいね!

また来月号も楽しみにお待ちください!

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本記事の担当編集者
山口 健太

『月刊給食指導研修資料|きゅうけん』 編集長
株式会社日本教育資料 代表取締役
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 代表理事

岩手県盛岡市出身。学生時に「会食恐怖症」を発症し、他人と食事ができなくなった経験を持つ。その中で「食べられない」ことへの適切な対応や支援が、子どもたちと関わる教育者に広まっていないことを痛感。メディア「月刊給食指導研修資料|きゅうけん」を立ち上げ「楽しく食べることが、社会の幸せを作る」という思いで活動している。著書に『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)ほか数冊。

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