子どもが食事を吐き出したらどうする?【2021年9月】

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今月は、よくあるシチュエーションの1つ「子どもが食事を吐き出した時に、周りの大人はどうしたらいいのか?」をテーマにして、指導のポイントについてをお届けします。

●その他、本テーマに関連する解説記事はこちら

▶︎【図解】SOSのサインかも!子どもが給食を食べるのが遅い・吐き出す

▶︎【図解】トラウマに?子どもが給食で吐いたら思い出したいこと

1番やってはいけないこと

08-子どもが食事を吐き出したらどうする?
「子どもが食事を吐き出したらどうする?」のPDFはこちら(右クリックで保存できます)

子どもは食べられないものを口から吐き出すことがあります。その時に周りの大人がどのような対応をするかで、その子の将来的な食の広がりに影響が出ることがあります。

1番やってはいけないことは「吐き出したことを怒ること」です。
食事中に怒る大人と怒られる子どものイラスト
たしかに大人が持つ常識であれば、お行儀が悪いので注意したくなると思います。

しかし、小さい子であれば特に「自分が食べられない理由」をうまく言葉で伝えることはできず、口から食べ物を吐き出すことで伝えることしかできない場合もあります。

子どもが食事を吐き出すのは「まだ自分には合わない」という大切なサインです。怒る必要はありません。

「吐き出すことを怒る」3大デメリット

さらに言えば、怒ることにより更なる「食べる事の困難」にも繋がる可能性があります。

具体的には、以下のような3つの大きいデメリットがあります。

子どもが食事を吐き出して怒ると起きる3つのこと

  1. 口に溜め込むようになる…吐き出せる環境でないと口に溜め込むようになり、食べるのが遅くなったり、丸呑みになったりなど、誤嚥や窒息などの大きな事故・トラブルの引き金にもなります。
  2. 食わず嫌いが増える…吐き出すと怒られることが分かっていると、興味のある食べ物を口に入れづらくなり、食わず嫌いが多くなります。子どもの食わず嫌いの殆どは、知らず識らずのうちの周りの大人の関わり方が作っていることが多いです。
  3. 食への意欲が低下する…吐き出したら怒られることが続くと、食べること自体が苦痛になり、食への意欲も低下します。

ですから、怒る必要はありません、

安心して吐き出せる環境を作ろう

では、子どもが食事を吐き出してしまったら、具体的にはどう対応したら良いのでしょうか?

子どもの食の広がりを考えた場合、むしろ「安心して吐き出せる環境」を作る方が大切になります。

子どもが食事を吐き出しても大丈夫な環境を作る

具体的には、吐き出す用の容器(お皿・ボウルなど)を用意すること「食べられなかったらここに出していいからね」という声かけをするようにしましょう。

さらに、どうして食べられないのかという理由に沿った対応を考えると尚良いです。

今回のテーマの吐き出してしまう場合は「口腔機能の発達」に課題があることが多いですが、こちらに関しては「【図解】子どもが給食を食べられない3つの理由」で解説していますのでお読みいただければ幸いです。

突然、飲み込めなくなった場合は?

また普段相談に乗っていてもう1つ多い事例が「子どもが突然、飲み込めなくなってしまって、食事を吐き出すようになってしまった」というケースです。

これはたとえば「1度食事を喉に詰まらせて、そこから飲み込むのが怖くなった」という体験から起きるケースが多いです。そうすると、大人としては突然のことにとても不安になると思います。

こういった場合もやはり、安心して吐き出せる環境を作ることが大切です。

また、注意したい声かけ(やらない方が良い声かけ)としては「しっかりごっくんしてね」というように、嚥下をより意識させてしまうような声かけです。

なぜなら、錠剤の薬やサプリメントを飲み込む時に、嚥下を意識すると逆にうまく飲み込めない人がいるように、嚥下というのは「ちゃんと飲み込まなければ」という意識すればするほど、機能が低下することがあるからです。

「飲み込めないものは、仕方がないね」等と声をかけて、今食べられる形態のものから少しずつ、食を広げていきましょう。

最後に

今月のイラスト付き資料はいかがだったでしょうか?

子どもが食べない時に、周りの大人がどのような対応をするのかで、その子の食の広がりは大きく変わっていきます。

今回のような声かけについては「【図解】食べない子になんて声をかけたらいい?」も参考になると思いますので、ぜひご一読ください。

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本記事の担当編集者
山口 健太

『月刊給食指導研修資料|きゅうけん』 編集長
株式会社日本教育資料 代表取締役
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 代表理事

岩手県盛岡市出身。学生時に「会食恐怖症」を発症し、他人と食事ができなくなった経験を持つ。その中で「食べられない」ことへの適切な対応や支援が、子どもたちと関わる教育者に広まっていないことを痛感。メディア「月刊給食指導研修資料|きゅうけん」を立ち上げ「楽しく食べることが、社会の幸せを作る」という思いで活動している。著書に『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)ほか数冊。

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