【根拠】ストレスで分泌されるコルチゾールは食欲を抑え、胃腸機能も低下させることが研究で示されています。
【メリット】本記事では原因を整理し、声かけ例や5つ図解とPDF資料を用意。印刷して職員室や保護者会で明日からすぐ使えます。
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どうして、ひと口も食べられない?
要点:心理的なストレスにより「身体が食べることを拒否」している可能性が高い
※「ひと口も食べない子には、一体何が起きている?」のPDFはこちらから保存・ダウンロード
給食の時間になると、給食をひと口も食べない子に悩むことがあります。
このような場合、その子は食べることに関して、心理的なストレスを感じていることが多く、それが食欲の低下に繋がります。
食べられない3つの理由を整理しよう
要点:感覚的な問題・機能的問題・精神的な問題の三分類で理由を可視化
給食を食べられない子がいる場合、以下のような3つの理由から考えると整理しやすくなります。
「ひと口も食べない」などの極端な場合は、精神的な理由が含まれていると考えられます。
※感覚的な理由については「【図解】特別支援学級にも多い?感覚的な問題からくる偏食への指導①&②」。機能的な理由については「【図解】子どもの食事に時間がかかる1番の原因?機能的な問題について」。理由をもっとしっかりと把握したい場合は「【保育園から活用可】給食を食べない理由がわかる!フローチャート&チェックリスト」という記事が参考になります。
今回の記事では、以下より心理的なストレスと食欲の関係についてを知り、食べない子(食べられない子)への理解を深めましょう。
心理的ストレスが食欲を奪うしくみ
要点:コルチゾールなどのストレスホルモンは食欲を低下させる。
以下より、身体的な仕組みからの3つの理由を解説します。
ホルモンの分泌による食欲の低下
ストレスを感じると、アドレナリンやコルチゾールなどのストレスホルモンが分泌されると言われています。これらのホルモンは食欲を抑制します。
神経伝達物質の変化による食欲の低下
ストレスが神経系に与える影響により、食欲を制御する神経伝達物質が変化すると言われています。セロトニンやドーパミンのバランスを乱すことがあり、これが食欲低下に繋がります。
消化器官への影響による食欲の低下
ストレスが消化器官に影響を与えて、胃の動きや消化酵素の分泌が変化すると言われています。これが胃腸の不快感や消化機能の低下に繋がり、食欲低下を引き起こします。
健全な食欲が湧き出るのには、空腹だけではなく、リラックスできていることも大切なのです。
苦痛を取り除く3つの視点(時間・空間・仲間)
要点:急かさない・落ち着く席に変える・無理強いしない──環境調整で安心感を作る
ひと口も食べられない子に対しての対応のポイントは「苦痛を取り除くこと」です。
その際にはまず、時間、空間、仲間という“3つの間“から対応を考えてみます。
・時間→早く食べなきゃいけない、いつまでも食べさせられる等をやめる。等
・空間→その子にとって、落ち着いて食べられる環境を作る。等
・仲間→周りの大人が無理強いしない。好きなお友達と食べてみる。等
こういった観点から、苦痛を取り除き、安心できる食環境をまずは作ってあげてください。
声かけ例5つ──共感→提案の順で
要点:「怖かったね」→「どれなら食べられそう?」と気持ちを受け止めてから選択肢を提示
またもう1つ大切なのは、給食や食べられないことへの不安を、しっかりと聴いて、認めげあることです。
その際には、以下のようなステップで考えてみます。
理由に関しては、子どもが正しく自分が食べられない理由を説明できるわけではないので、対応のヒントにしたり、理由を聞くなどの深いコミュニケーションを取ることで、その子が安心して過ごせるようになることが目的です。
これについては詳しくは「登校拒否の場合も!給食を嫌がる子どもにどうすればいい?」でも解説していますので、そちらも参考にしてください。
よくある質問
Q. まったく食べない子に「ひと口だけ頑張って」と言ってもいい?
A. 言ってはいけません。ひと口勧めるよりも先に、苦痛を取り除くことが大切です。
Q. 残させてもいい? 栄養は足りる?
A. 給食で不足しても家庭の補食や栄養補助食品でカバーできます。無理に完食を迫るより長期的改善を優先しましょう。
Q. 保護者にはどう伝えるのがベスト?
A. 事実と経過を速やかに共有し、一緒に解決へ取り組む姿勢を示すと保護者の安心につながります。
※質問をタップすると回答が開きます。
最後に
今月号はいかがでしたか?
給食を極端に食べられない場合、苦痛を取り除くという視点に立つことが大切です。ぜひ参考にしてください。
ちなみに、きゅうけんは今月から活動をして4年目がスタートとなりました!
公開研修会のお知らせ、きゅうけん書籍化プロジェクトなど、毎月の記事配信以外の情報は「きゅうけんマガジン」にて配信してますので、興味のある方はそちらもお読みください。
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