【独自調査】保護者350名に聞いた!給食指導で不安や疑問に思っていること【2026年7月】

保護者350名に聞いた!給食指導で不安や疑問に思っていること|きゅうけんVol.59 月刊イラスト付き資料

【結論】約3人に1人(32.6%)の保護者が園の給食指導に不安や疑問を感じた経験があると分かりました。「無理強い」だけではなく「促さない」ことへの不安や疑問もありました。大切なのは「どうしてこのやり方なのか」を説明できることです。

【根拠】2026年4月、給食のある幼保施設に子どもを通わせる保護者350名にアンケートを実施。自由回答には「完食を求められて吐いた」「最初から食べなくていいと言われるだけ」など、現場の具体的な声が多数寄せられました。

【本記事を読むメリット】保護者が実際に何を不安に感じているのかが分かり、明日からの給食指導と保護者に信頼される「伝え方」のヒントが得られます。

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保護者350名に聞いた!給食指導で不安や疑問に思っていること Vol.59 図解資料
Vol.59『保護者350名に聞いた!給食指導で不安や疑問に思っていること』(PDFを保存できます)

今回は、保護者350名へのアンケートで見えてきた”本音”と、保護者から信頼される給食指導のヒントを解説します。

【調査結果】約3人に1人の保護者が、給食指導に不安や疑問

給食指導に不安や疑問を感じた保護者は約3人に1人(32.6%)という調査結果グラフ
結論:給食指導に不安・疑問を感じた経験のある保護者は32.6%(約3人に1人)。完食を求める指導は、約3人に2人の園で見られました。

2026年4月、給食のある幼保施設に子どもを通わせる保護者350名にアンケートを実施しました。その結果、給食指導について「不安や疑問を感じたことがある」と答えた保護者は32.6%。内訳は「現在も感じている」17.7%、「過去に感じたことがある」14.9%でした。

  • 不安・疑問を感じた経験あり:32.6%(現在17.7%+過去14.9%)
  • とくに「現在も感じている」が17.7%と、解消されないまま続いている不安も一定数あります

また「園で完食を求める指導があるか」という質問では、給食の様子を把握している保護者(「わからない」を除く245名)のうち62.0%(約3人に2人)が「完食指導がある(毎日29%、週に数回19.6%、たまにある13.5%)」と回答しました。

【POINT】
「給食指導に不安を感じる保護者なんて一部では?」と思われるかもしれません。しかし約3人に1人が経験しているのは、決して少数派ではありません。では、具体的にどんな点が気になっているのでしょうか。自由回答の声を見ていきましょう。

傾向①「無理強い」「理不尽ルール」への疑問

「無理強い」や理不尽なルールなど、給食指導への疑問に関する保護者の声
結論:完食を求める強い圧力や、効果が疑問な理不尽ルールが、保護者の不信感につながっています。

自由回答でもっとも多かったのが、「無理強い」や「理不尽ルール」への疑問です。

「完食を求めすぎて子どもが吐いた」(埼玉県・専業主婦)

「残さず食べるよう強制していた」(愛知県・会社員)

「嫌いな物、苦手な物でも全て完食しないと、ご飯やパンなど主食のおかわりもできない」(岐阜県・会社員)

「おかずが食べれないとフルーツも食べたらダメだという決まり」(広島県・公務員)

「給食をたくさん食べてほしいから食事中に水は飲んではいけないと言われた」(新潟県・専業主婦)

完食を強く求めることには、食事そのものが嫌いになるといったリスクがあります。よかれと思った指導でも、子どもの心身に負担をかけてしまうことがあるのです。

【現場でのヒント】
「水は禁止」「これを食べないとフルーツ(デザート)禁止」「おかわりは完食が条件」などのルールは、“なぜそのルールが大切なのか”を論理的に説明できるかを一度見直してみましょう。理由が説明できないルールは、保護者の不信感のもとになりがちです。

傾向②「促さない」ことへの疑問

「促さない」対応など、給食指導への疑問に関する保護者の声
結論:「見守る」対応も”ねらい”が伝わらないと「ただ放っておかれている」と受け取られてしまいます。

意外に思われるかもしれませんが、「無理強いの逆」である”促さない”対応にも、保護者は不安を感じていました。

「本人に1人で食べさせて、食べきれなければ下げるという感じのようで、家では何も残さないのに園ではあまり食べずに終わることが多く、帰った後に食欲が爆発している」(30代・東京都・会社員)

「食べたくないなら食べなくてよいよ、と最初から言われること。最初の声かけは『1口食べない?』など、促す声がけがあると良いなと思う」(30代・熊本県・公務員)

「無理強いをしない」「子どもの意思を尊重する」という関わりには、本来きちんとした“ねらい”があります。しかし、それが保護者に伝わっていないと、「何もしてもらえていない」「放っておかれている」と感じさせてしまうことがあります。

【現場でのヒント】
「無理強いはしません」だけで終わらせず、「まずは安心して食卓に着けることを大切にしています」「5つのステップを考えてその子に応じたすすめ方をしています」など、”していること”もあわせて伝えると、放任という誤解を防げます。

見落としがち:「説明不足・事前共有なし」への不満

結論:やり方そのものより、「急に変わった」「説明がなかった」ことが不信のもとになっています。

自由回答には、指導の中身というより“進め方・伝え方”への不満も見られました。

「年少から急に箸一択。せめて事前に『お箸しか出しません』と教えてくれてほしい」(30代・岐阜県・パート)

「1歳児で入園のとき、アレルギー確認で牛乳を飲ませていないと伝えると『1歳なのにまだ牛乳飲ませてないのか』と言われた」(30代・東京都・会社員)

「アレルギーが出るご飯を食べさせたりすること」(20代・長崎県・自営業)

同じ対応でも、事前にひと言伝えてあるかどうかで、保護者の受け取り方は大きく変わります。とくにアレルギーや発達段階に関わる場面では、保護者は強い不安を抱きやすいため、配慮ある言葉と事前の共有が欠かせません。

特に注意なのは年度の変わり目です。引き継ぎのコツは以前「新年度に向けて、給食のことをどう引き継ぐ?」で取り上げているので、参考にしてください。

【現場でのヒント】
方針や進め方を変えるときは、「いつから・何が・なぜ変わるのか」を事前にひと言伝えるだけで、保護者の安心感は大きく変わります。

保護者は”給食指導”も園を選ぶ一つの基準にしていた

結論:給食指導は、今や園選びの判断基準の一つになっています。

今回の調査では、給食指導が園への信頼や園選びに直結していることも分かりました。

  • 過半数を超える54.9%(192名)が「園を選ぶ際、給食で完食を強制しないかを事前に知りたい」と回答
  • 約3人に2人(62.0%、217名)が「給食指導の質を第三者が認定している園があれば、園選びの参考にする」と回答

つまり、保護者の関心は「給食の献立・内容」だけでなく、「どんな考え方で給食指導をしているか」という”指導の質”にも向けられているということです。入園の説明会や保育園のホームページで、給食指導の方針を分かりやすく発信することは、保護者の安心につながり、これからの園にとって大きな強みになるかもしれません。

カギは”根拠ある指導”と”その説明”

結論:給食指導に唯一の正解はありません。大切なのは「なぜこのやり方なのか」を説明できることです。

ここまで見てきたように、保護者が不安を感じるのは「無理強い」のときも「促さない」ときもありました。これはどちらのやり方が正しい・間違っているという話ではないことを示しています。

ポイントは、その指導に”根拠”があり、それを保護者に説明できるかどうかです。

  • 無理強いに見える指導 → なぜその指導・ルールなのか、根拠を説明できるか
  • 促さない(見守る)指導 → どんなねらいで見守っているのか、説明できるか

根拠と説明があれば、同じ対応でも保護者は「ちゃんと考えてくれている」と安心できます。逆に、根拠のないルールや説明のない対応は、どちらの方向でも不信感につながりやすいのです。

【POINT】
「どうしてこのやり方なのか」を言葉にするときに、最新刊『いちばんやさしい 保育者のための「食べない子」サポートBOOK』(中央法規出版)では、食べない子への関わりの”根拠”と”具体的な声かけ”をやさしく解説しています。あわせて参考にしてみてください。

信頼される給食指導のために、今日からできる6つのこと

結論:方針の共有と、ひと言の説明から始められます。

最後に、保護者から信頼される給食指導のために、現場で今日から取り入れられることをまとめます。

  1. 園の給食指導の方針を保護者に伝える:入園説明会・おたより・HP・SNS・面談などで「無理強いはしない/こういうねらいで関わっている」を共有する
  2. ルールには”理由”をセットにする:「おかわりは苦手なものを食べてから」などのルールがあるなら、その根拠もあわせて説明する
  3. “していること”を伝える:「促さない」場合も、安心して食卓に着ける工夫や一口を勧める声かけなど、しているサポートを言葉にする
  4. 変更は事前にひと言:箸への切り替えなど、進め方を変えるときは事前に保護者へ伝える
  5. 個別対応の理由を共有:「この子にはこういう理由でこう対応しています」と伝えると、ほかの保護者の理解も得やすい
  6. やり方を変える時には相談をする:「いつも完食できないので、まずは半分くらいの量から配膳してみたいのですが」など相談をする

よくある質問(Q&A)

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Q1.給食指導の方針を、保護者にどう伝えればいいですか?

A.「方針」と「その理由」をセットで、いろいろな機会に繰り返し伝えるのがおすすめです。

一度伝えただけでは、なかなか全員には届きません。入園説明会・園だより・個人面談・連絡帳など、複数の機会で繰り返し伝えましょう。「無理強いはしません。安心して食べられる経験を積み重ねることを大切にしています」のように、方針+ねらいをワンセットにすると伝わりやすくなります。これまでのきゅうけんの図解資料を保護者向けのおたよりに同封したり、参考にして食育だより(給食だより)を活用するのも一つの方法です。

Q2.「無理に促さない」方針が、放任だと誤解されないためにはどうすればいいですか?

A.「していること」を具体的に伝えましょう。

「無理強いしない=何もしない」ではないことを、言葉にして伝えるのが大切です。「まずは席に着いて食卓の雰囲気に慣れることを大事にしています」「5つのステップを考えて勧めています」など、見守りの“ねらい”と“具体的な関わり”を共有すると、放任という誤解を防げます。

Q3.今すぐ完食指導はやめるべきでしょうか?

A.無理に食べさせることと、完食を目標にした丁寧な個別支援は別物です。
完食を強制すると、誤嚥・窒息のリスクが高まったり、食への嫌悪感につながったりなど、かえって食べられなくなるケースがあります。もしそういう職員がいる場合、やめるべきです。一方で「完食を目標に個別的に丁寧な支援をする」という考え方もできます。ただ、誤解が生まれやすい部分でもあるので、職員への丁寧な周知、園内研修などは必須です。

Q4.保護者に自信をもって伝えられません……。

A.外部専門家の力を借りるのも一つの手です。
外部の専門家の力を借りる、納得性をもった説明をしてもらうというのも一つの手です。実際近年は、私たち「きゅうけん」にも「職員向けの研修に加えて、保護者会でも話をして欲しい」という要望が多くなってきています。

Q5.今回の調査結果の全部は、どこで見れますか?

A.「きゅうけんリサーチ」から見ることができます。

今回の調査結果も含めて、独自調査は「きゅうけんリサーチ」というページにまとめております。きゅうけんでは、給食指導の課題を明らかにし、解決につなげるために独自の調査を実施し、結果をレポートで公開しています。ぜひご覧ください。

最後に

今回は、保護者350名への独自調査から見えてきた「給食指導への不安や疑問」と、その対応のヒントをお伝えしました。

  • 約3人に1人(32.6%)の保護者が、給食指導に不安や疑問を感じた経験がある
  • 気にされているのは「無理強い」だけでなく「促さない」対応も
  • 「急に変わった」「説明がなかった」という進め方への不満も多い
  • 給食指導は、いまや園選びの判断基準の一つになっている
  • カギは「根拠ある指導」、その理由を保護者に説明すること

「なぜこのやり方なのか」を説明できれば、保護者の信頼につながります。

まずは、園の給食指導の方針を、ひと言からでも保護者に伝えてみてください。それが、子どもにとっても保護者にとっても安心できる給食の第一歩になります。

新刊『保育者のための「食べない子」サポートBOOK』(中央法規出版)もきっと役に立つはずです。

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今回の資料や解説記事が、皆さんのお役に立てれば幸いです。次回もお楽しみに!

参考

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本記事の担当編集者
山口 健太

『月刊給食指導研修資料|きゅうけん』 編集長
株式会社日本教育資料 代表取締役
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 代表理事
食べない子専門カウンセラー

岩手県盛岡市出身。学生時に「会食恐怖症」を発症し、他人と食事ができなくなった経験を持ち、2016年末から支援活動を始める。その中で「食べられない」ことへの適切な対応や支援が、子どもたちと関わる教育者に広まっていないことを痛感。専門カウンセラーとして3,000件超を個別支援し、問題解決に導いてきた。2020年にメディア「きゅうけん|月刊給食指導研修資料」を立ち上げ「楽しく食べることが、社会の幸せを作る」という思いで活動している。食育の講演や研修を累計100回以上(のべ1万名)以上に実施。

著書に、『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)ほか8冊、海外でも翻訳出版され、国際的にも影響を与えている。

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